VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を適当に紹介します。

#019 『Sad war』(桜庭統/ラビリンスの彼方/3DS)

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ラビリンスの彼方より、桜庭統作曲の『Sad war』。

幻想的な世界観にぴったりな、終盤の戦闘曲です。

レトロな3Dダンジョンゲームをまったりチャットをしながら楽しんでいたプレイヤー他三名は、突然画面が切り替わって不思議な異世界へと転移される。そこにはどうやら迷子らしい銀色の美しい髪をした少女と、息を飲む絶景が広がっていた。少女はプレイヤーたちの姿を認識することはできるが、チャットのメッセージは届かない。かくして両者は、互いに自己紹介する術もなく、謎に満ちた谷底からの脱出、すなわち地上への帰還を目指す。

霧に覆われた大自然や神秘的な建造物、意思疎通の手段がないまま歩みを進めるうちに、プレイヤーたちと少女は徐々にことばを伴わない奇妙な連帯意識を共有することとなる。少女の冒険の背後に繰り広げられるプレイヤー同士のチャットは、ときにメタ的な要素を含みつつ、果てしなく静謐な異世界を賑やかに彩る。シンセサイザーを駆使してつくられた楽曲は、どれも作品の雰囲気を十二分に反映した良曲揃いである。

九番目のステージは、まだ地上に出ていないにもかかわらず頭上には空が見える迷宮。灰色の古びた建物にはところどころ浸食された部分が散見され、緑色の苔が纏わりついている。シームレスに展開される戦闘で流れるこの曲は、絢爛なシンセ音を使いつつ、鐘やストリングスを交えながら静かに士気を高める音使いが特徴的である。終盤にふさわしい勇猛さを内包しているなか、作品全体を貫く静けさも失われることなく共存している。

桜庭さんと言えばプログレ系の戦闘曲とか息もつかせぬ疾走感あふれるメロディーラインとかの印象が強いですが、こういう作風も良いですね。