VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#022 『どうくつ』(本山淳弘/くるくるくるりん/GBA)

www.youtube.com

エイティングがおくるアクション・くるくるくるりんより、

本山淳弘作曲、『どうくつ』(仮称)。同名のワールド内のステージで流れます。

ゲームボーイアドバンスのローンチタイトルとして登場した本作。散り散りになってしまった弟妹たちを見つけるべく、主人公のクルリンはヘリコプターのヘリリンに乗り込んで探し回ることになる。ヘリリンは自動でくるくる回る長い棒のような形状で、ステージ内の壁や障害物にぶつからないようにうまく操作しながらゴールを目指していく。和やかな雰囲気のシナリオに沿って全10ワールドを攻略していくぼうけんモードのほか、短めで難しめの全50ステージに挑めるちょうせんモード、通信対戦できるたいせんモードが搭載されている。直感的な操作性と単純明快なルールが特徴で、そこに一筋縄ではいかない絶妙な歯応えがバランスよく共存している。アクションパズルゲームとして、ほのぼのとしつつも独特な奥深さを持つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは本山淳弘氏。フリーランスの作曲家で、エイティング(旧ライジング)の作品には頻繁に参加している。本作以降もくるりんシリーズの作曲を単独で手がけることになる。ポップでファンタジックな世界観にあわせて、本作ではGBA音源の素朴さをうまく活かしたメルヘンチックなサウンドが揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

5番目のワールドであるどうくつで流れるのがこの曲である。このワールドではヘリリンの回転を逆方向に調整できるバネの仕掛けが非常に多く登場する。油断ならないギミックを象徴するかのごとく、全編にわたってシリアスな曲調に仕上がっている。耳に残りやすいイントロから始まり、3秒頃から主旋律が入ると、勇ましくも落ち着いたトーンを感じさせる。フレーズ終わりの15~17秒や36~38秒にはリズミカルな電子音が奏でられ、シリアスな雰囲気に前向きな興を添える。特に38秒以降のサビは高音を多用することで、曲前半と比べてだいぶ明るめな印象を与える。が、1分7秒にはループに突入して元通りの緊張感を漂わせる。長く聴けば聴くほど思考力が研ぎ澄まされていくような、シンプルだがディープな一曲である。

続編のくるりんパラダイスの『ひみつの国』がまた素敵なんですよね。機会があればいつか紹介します。

※宣言通り紹介しました。

thytimes.hatenablog.com