VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#024 『Positive Force』(Magnus Pålsson/VVVVVV/PC)

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Terry Cavanaghがおくる2Dプラットフォーマー・VVVVVVより、

Magnus Pålsson作曲、『Positive Force』。

Gravitronなどのいくつかのエリアで流れます。

インディーゲームクリエイターのTerry Cavanagh氏の代表作である本作。宇宙船の事故で見知らぬ空間に迷い込んでしまった主人公は、行方不明のクルーたちを探しに崩壊間際の異空間を渡り歩いていく。上下左右の移動のみ(上下はジャンプの代わりに重力操作で反転移動する)というシンプルな操作性と、それとは裏腹に仕掛けだらけの挑戦的な難易度が特徴で、問答無用の即死トラップを掻い潜りつつ、ときには危険を顧みぬ大胆さで、次元の謎に挑むことになる。簡素な8bit風のグラフィックと相まって、レトロ志向の仕上がりとなっている。後に3DSやアプリ、スイッチなどに移植された。

本作の音楽を担当するのはMagnus Pålsson氏。Souleyeという名義でも知られるスウェーデン出身の作曲家である。氏はコモドール64Amiga 500などのレトロゲーム機をこよなく愛することから、作風ももっぱらローファイでキャッチーなチップチューンを得意とし、本作でもそれが遺憾なく発揮されている。印象的なゲーム名にあわせて、楽曲のタイトルはすべてPで始まるという謎のこだわりも持ち合わせていて、随所に遊び心あふれる仕様となっている。サウンドトラックは氏の公式サイトやBandcampなどで販売されている。

60秒間、重力反転を用いて障害物をひたすら避け続けるという本作屈指の鬼門エリア「Gravitron」をはじめ、複数のシーンで流れるのがこの曲である。イントロから威勢よく鳴り響くクールなレトロチューンで、正の力という曲名通り、その曲調からはまっすぐ前へと突き進む姿勢が窺える一方で、どこか焦燥感をも煽り立てる。メインメロディーの果敢さはさることながら、40秒以降でみられるようなエフェクトの効いた電子音を用いることで、中弛みすることのない勢いを保ち続ける。さらに54秒からはキーを上げて高音轟くサビを奏でると、聴いているだけで気持ち良くなる絶妙な昂揚感を漂わせる。曲後半にも見せ場があり、特に1分49秒頃の間奏では反復多めのフレーズを披露することで、リズミカルなノリを生み出す。曲名に違わず、何回死んでもまたチャレンジしてやろう、という前向きな気概を感じさせる一曲である。

トレーラーでも使われてる代表曲ですね。曲名がぴったり合ってます。