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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#034 『英雄の証』(甲田雅人/モンスターハンター/PS2)

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カプコンがおくるハンティングアクションモンスターハンターより、

甲田雅人作曲、『英雄の証』。

メインテーマで、オープニングやエンディングなど様々な場面で流れます。

獲物を狩るという単純明快な目的を掲げて登場した本作。プレイヤーはモンスター討伐の依頼を受けて狩猟するハンターとして、単独で大物狩りをしたり、狩りを通じて採集した素材で武器を精製したり、強い武器を使ってオンラインで仲間と協力して大型モンスターに挑んだりすることになる。シンプルなゲーム性と、狩りの面白さを突き詰めた豪快な戦闘システムが特徴で、その奥深さゆえに特にマルチプレイで一世を風靡した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは甲田雅人氏と柴田徹也氏。甲田氏は元カプコン所属(当時すでに退社済み)で現在は音楽制作会社デザインウェーブに在籍している作曲家で、柴田氏は当時カプコンに所属していた作曲家である。スタッフロールのコンポーザー欄ではこの二名のみだが、他にも一部サウンドディレクターのMomora氏が作曲しているものや、音楽制作会社イマジン所属の浜口史郎氏が編曲しているものもある。本作では終わることのない活劇のムードを盛り上げるべく、熱く滴るように流れる豪快なオーケストラサウンドが揃っている。サウンドトラックはビジュアルブックレットとあわせて書籍形式で発売されたほか、後発の作品のサントラやアレンジアルバムなどにも頻繁に本作の楽曲が収録されている。

オープニングやエンディングなど、ここぞというときに流れるのがこの曲である。本作、ひいてはシリーズ全体の代表曲にふさわしい壮大なオーケストラ仕立てである。手始めにゆったり重厚なブラスを鳴らすことで導入部分を聴きやすく仕上げ、10秒過ぎからハープの美しい音階に続いてストリングスが上品な旋律を紡ぎ出すと、徐々に勢いを蓄えていく。26秒あたりから弦楽器がざわめき出し、そこに管楽器の音色が重なり合っていよいよ本格的に準備が整うと、41秒から核となるメロディーが入る。勇ましさ満点の主旋律と、その裏で緊張感たっぷりに響くストリングスやシンバルが、世界の壮大さと狩猟のスリルをひとまとめに表現しているように感じられる。ただ勇壮であるだけに留まらず、1分頃や1分38秒頃からしばらく甘美な間奏を挟むことで、静と動のメリハリをつけて巧みに盛り上げている。曲名の格好良さとも相まって、ハンターたちの心を鷲掴みにして離さない一曲である。

ゲーム音楽の代名詞くらいの認知度かもしれませんね。あらためて曲名のまとまりの良さ、見栄え・聴き応えの抜群さに感心します。