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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#037 『Ronfaure』(植松伸夫/ファイナルファンタジーXI/PS2)

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スクウェアがおくるRPGファイナルファンタジーより、

植松伸夫作曲、XIの『Ronfaure』。

森林地帯である東ロンフォールと西ロンフォールのフィールドで流れます。

FFシリーズのうち、11作目にして初のオンラインMMORPGとして登場した本作。ヴァナ・ディールと呼ばれる広大な世界で、プレイヤーは自らの分身となるキャラクターを五つの種族と三つの所属国から選んで冒険することになる。当時のオンラインゲームにしては珍しく、クリスタルをめぐる確固たるストーリーが用意されていて、拡張ディスクが発売されるごとにシナリオや世界観の奥深さが増していった。アップデートによる追加実装やバランス調整も充実していて、長期的に楽しめる仕上がりとなっている。PS2版および移植先の一つであるXbox360版のサービスは終了しているが、PC版は現在も継続的に運営されている。

本作の音楽を担当するのは植松伸夫氏、谷岡久美氏、松枝賀子氏、水田直志氏。現在も所属している水田氏を除き、いずれも当時スクウェアに所属していた作曲家である。このうちFFサウンドの生みの親である植松氏以外は本作がFFシリーズ初参戦(ただし谷岡氏はそれ以前に外伝のチョコボを担当した経験がある)の布陣である。本作は、拡張ディスクにあわせてその都度新規曲が追加されていき、特に後期の楽曲は軒並み水田氏が単独で手がけている。サウンドトラックはオリジナル版、未収録曲を音源化したPLUS版、それぞれのディスクに対応した新曲を収録した拡張版など、複数種類が発売されている。

東ロンフォールと西ロンフォールのフィールドで流れるのがこの曲である。数ある楽曲のうち、この曲はβテスト時代から用いられている本作最古参の曲で、はじめにサンドリアを所属国として選んだプレイヤーは、街を出て初めて聴くフィールド曲となる。ゆったりと奏でられるアコースティックギターと笛の寂寥感あふれる音色に、控えめながらも要所要所で鳴り響くタンバリンやトライアングルの金属音が絡み合って、独特の癒しのリズムを生む。序盤のフィールドゆえに故郷と位置付けられやすいロンフォールの森林地帯を、民族音楽を彷彿させる曲調で静かに彩っていて、その素朴な響きがたっぷりの郷愁と哀愁を誘ってくれる。すっかり安心できるような、心落ち着く温もりに満ちた一曲である。

植松さんが本作で最初に作曲したものでもあるそうですね。