VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#042 『疾風』(阿知波大輔/ヴィオラートのアトリエ ~グラムナートの錬金術士2~/PS2)

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ガストがおくる錬金術RPG・アトリエより、

阿知波大輔作曲、ヴィオラートの『疾風』。

ダンジョン内の通常戦闘曲で、読みは「はやて」。

ガストの看板タイトルであり錬金術でアイテムを調合するシステムが特徴のアトリエシリーズのうち、グラムナート編の第2弾にあたる本作。過疎の村・カロッテ村に住む少女・ヴィオラートは、都会に引っ越してしまった両親を説得すべく、錬金術の力で村を再興することになる。錬金術による調合はもちろん、店を構えて村おこしを目指す経営シミュレーション的な要素が強く、集めたアイテムで品揃えを充実させたり、店の評判を広めたりして村を賑やかにしていく点が大きな特徴である。交流する仲間たちを店番や冒険者として適宜雇いながら、3年という期限のなかで計画的に攻略する必要があり、条件に応じて複数のエンディングに分岐する。独特な遊び応えのある仕上がりとなっている。後に追加要素を加えてPSPに移植された。

本作の音楽を担当するのは阿知波大輔氏、土屋暁氏、中河健氏の三名。PSP版の追加曲では柳川和樹氏も一曲だけ担当している。いずれも当時ガストに所属していた作曲家たちである。このうち特に阿知波氏と中河氏の担当分が多く、阿知波氏は戦闘曲まわりを、中河氏はフィールドやイベント曲を中心に軒並み作曲している。本作では村おこしが大きなテーマであることから、発展の度合いに応じて楽曲が変化するなど、進捗状況を実感できるような仕掛けも存在する。サウンドトラックはオリジナル版のほか、PSP版の追加曲およびボーナストラックを収録したものも発売されている。

ダンジョンの内部での戦闘において流れるのがこの曲である。イントロから三連続の派手なシンバル音で始まり、次いでシンセがアップテンポに奏でられることで、とても聴き心地の良い爽やかな印象を与える。その明るく疾走感あふれる音色は、さながら颯爽と吹き抜ける風を彷彿させる。曲後半、1分50秒過ぎには畳みかけるような速弾きピアノが挿入され、追い風に乗って、あるいは逆風に逆らってでも突き進まんとする疾風怒濤の勢いを感じさせる。非常に力強いスピード感を誇る一曲である。

曲名、読み、曲調がぴったりと一致していますね。