VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#043 『POLLYANNA』(鈴木慶一/MOTHER/FC)

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任天堂がおくるRPG・MOTHERより、

鈴木慶一作曲、『POLLYANNA』。

フィールド曲のうち、パーティが一人(主人公のみ)のときに流れます。

「エンディングまで泣くんじゃない」というキャッチコピーで知られる本作。アメリカの片田舎に住む主人公の少年は、各地で相次いで起きる怪奇現象の謎を解き明かすべく、仲間と一緒に冒険することになる。当時のRPGにしては珍しい時代背景、現代劇でありながらところどころに超能力(PSI)をはじめとするすこし不思議な要素が混在する愛らしくも斬新な世界観が特徴で、独特な温かみと皮肉の効いた台詞回しなどと相まって、まさしく「名作保証」という強気な謳い文句に違わぬ傑作に仕上がっている。

本作の音楽を担当したのは鈴木慶一氏と田中宏和氏。鈴木氏はロックバンド・ムーンライダーズのリーダーであり、日本のロックシーンにおいて先駆的な役割を果たしたミュージシャンである。田中氏は発売当時は任天堂に所属しており、本作以前からバルーンファイトなど任天堂ゲーム音楽づくりに携わっていた。二人が作曲した楽曲群は、どれも80年代アメリカという舞台に即したポップでキャッチーな仕上がりとなっていて、曲そのものがシナリオに関わるという小粋な仕掛けも含めて、非常に細部までつくり込まれている。サウンドトラックは基本的にアレンジのみで、海外歌手を起用したボーカルソングを中心に収録されている。

パーティメンバーが一人、すなわち主人公のみのときのフィールド曲として流れるのがこの曲である。その性質上、自宅を出て初めて聴くことになるのがこの曲であるが、一人旅という限定的なシチュエーションにだけ流れるからこそ、その初々しく朗らかな音色は、始まりつつある未知への冒険の期待を大いに膨らませてくれる。孤独を感じさせない明るくメロディアスな旋律は、音数のすくないファミコンの制約をものともしない完成度を誇り、「極端な楽天家」を意味する曲名の通り、あるいはスキップをしながら、あるいは口笛を吹きながら旅に出たい気分にさせてくれる。

やさしくて温かみがあって、この曲を聴いた瞬間にキャッチコピーの約束事を早々に破ってしまいそうですね。スマブラDXでのアレンジ『マザー裏』(編曲は安藤浩和さん)も原曲の楽しげな雰囲気が強調されていて素敵ですので、そちらもあわせてどうぞ。

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