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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#050 『ポニの大峡谷』(佐藤仁美/ポケットモンスター サン・ムーン/3DS)

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ゲームフリークがおくるRPGポケモンより、

佐藤仁美作曲、サン・ムーンの『ポニの大峡谷』。同名のダンジョンで流れます。

ポケットモンスターシリーズのうち、第7作目にあたる本作。今度の舞台はハワイをモチーフとした異国情緒漂うリゾート地・アローラ地方であり、従来のシリーズにあったジム制を廃し、新たに「しまめぐり」と呼ばれる独特な儀式が導入された点が特徴である。四つの島と一つの人工島からなるアローラ地方を巡り、各地で執り行われる試練および大試練の制覇が旅の目的となっている。ヒロインに重きを置いたシナリオや、一発逆転のZワザをはじめとする対戦面における新要素など、従来とはまた一味異なる方向性を模索した意欲的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは足立美奈子氏、一之瀬剛氏、大賀智章氏、黒田英明氏、佐藤仁美氏、増田順一氏の五名。編曲のみの参加で福田淳氏と渡辺将也氏も参加している。このうちサウンドセクションディレクターの一之瀬氏をはじめ、足立氏、佐藤氏、増田氏はいずれもゲームフリーク所属の作曲家である。本作では島国ならではのエスニシティを表現するべく、南国風の民族音楽、それもケチャといった特殊なコーラスを用いた楽曲が揃っている一方で、アローラで暗躍する二つの組織・スカル団エーテル財団に関しては、前者はヒップホップ、後者はクラシカルなオーケストラなどのバラエティ豊かなサウンドも見受けられる。サウンドトラックは玩具と連動して音や光や振動が楽しめるボーナストラックも含めて4枚組で発売されている。

伝説のポケモンソルガレオルナアーラ)が祀られる日輪の祭壇(月輪の祭壇)の玄関口にあたるポニの大峡谷は、入り組んだ自然地形が印象的なアローラ最大のダンジョンである。ストーリーの佳境で訪れることになるこの場所は、ヒロイン・リーリエの見せ場となるイベントもある重要な地点だが、そこで流れるのがこの曲である。ドン、と低音から始まり、そこから散りばめられるように鳴り響くイントロ、そこにさらにギターが加わり、ノリの良いパーカッションと透明感のある笛の音が組み合わさることで、大自然の驚異と畏怖を感じさせる。ジャンルにとらわれない自由な曲調は、文化の多様性を重んじるアローラの風土に根差したものとなっていて、荒涼としつつも冒険心をくすぐる音使いと相まって、物語後半のダンジョンにふさわしい仕上がりとなっている。

サン・ムーンで一番好きなのは足立さんの『リーグへの道』(ラナキラマウンテン)ですが、あちらは曲の素晴らしさとラストダンジョンというシチュエーションの良さの割にマップが狭すぎるのが玉に瑕ですね。