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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#052 『夢の岸辺に アナザー・ワールド』(光田康典/クロノ・クロス/PS)

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スクウェアがおくるRPGクロノクロスより、

光田康典作曲、『夢の岸辺に アナザー・ワールド』。

アナザー・ワールドのフィールドで流れます。

クロノ・トリガーの続編であり、サテラビューサウンドノベルラジカルドリーマーズの発展的な作品として登場した本作。辺境の漁村に住む主人公セルジュは、不思議な夢と原因不明の事故をきっかけに時空を越えた旅に出ることになる。タイムトラベルという縦軸の移動をテーマにした前作と異なり、本作ではパラレルワールドという横軸の移動をテーマとしていて、ホームとアナザーの二つの世界を行き来することになる。。非常に複雑かつ綿密に練り込まれた世界観が特徴で、バトルシステムも心機一転、クロス・シーケンス・バトルと呼ばれるスタミナ制のコマンド戦闘(任意のタイミングでいつでも誰にでも入力可能)に一新されている。前作とはまた違った奥深さを持つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは光田康典氏。プロキオン・スタジオ(当時はまだ有限会社になっておらず、氏の個人事務所だった)の主宰で、クロノ・トリガーに引き続き本作も作曲している。本作では王道なファンタジー風の世界観に捻りが効いた作風にあわせて、民族音楽のエッセンスを取り入れた叙情的なサウンドが勢揃いしている。また、本作の雛型であるラジカルドリーマーズより、こちらでも作曲を担当した経緯から、旋律を一部借用しているものがある。サウンドトラックはオリジナルのもののほか、トリガーと一緒にアレンジされたもの、リバイバル用の映像付きのものなどが発売されている。

アナザー・ワールド、もう一つの世界のフィールドで流れるのがこの曲である。ラジカルドリーマーズのメインテーマである『Day of Summer』のアレンジであり、ややダークな趣が漂う原曲とは雰囲気を変え、優雅に幻想的に仕上げた大胆な出来映えとなっている。包み込むようなクワイアに、神秘的な響きを持つギター、気品あふれるストリングスの主旋律を組み合わせることで、夢の脆さと儚さ、ホーム・ワールドとはまた別の意味で郷愁を感じさせる。哀愁と癒しと美しさが見事に融合した一曲である。

クロスはほんとうに良曲ばかりで、すべての曲を紹介して回りたいくらいです。『Day of Summer』、あわせてどうぞ。

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