スーファミ時代の傑作RPGクロノ・トリガーの続編として発売された
クロノ・クロスより、光田康典作曲、『夢の岸辺に アナザー・ワールド』。
アナザー・ワールドのフィールドで流れます。
国産RPGの代表格として名高いクロノ・トリガー、その続編という位置づけで登場した本作は、タイムトラベルという縦軸の移動をテーマにした前作と異なり、パラレルワールドという横軸の移動をテーマとしている。王道な冒険譚だった前作と比較するとどこか世界観が複雑すぎるきらいがあるなか、緻密に練り込まれたストーリーは独特な魅力を醸している。
トリガーに引き続き本作の音楽を担当するのは光田康典氏。デビュー作で好評を得た彼は、本作においてもクオリティの高い楽曲を多く作曲し、色褪せぬ名曲揃いである。本作発売以前に、ラジカルドリーマーズというサテラビューのサウンドノベルが原型としてすでに存在していたため、こちらでも作曲を担当した経緯から、旋律を一部借用しているものがある。
この曲はなかでもラジカルドリーマーズのメインテーマである『Day of Summer』の編曲であり、ダークな趣と素朴な笛の音が奏でる質素な原曲とはがらりと雰囲気を変えた大胆なアレンジである。アナザー・ワールドというもう一つの世界を表現するにあたって、幻想的なアコースティックギターとストリングスのマリアージュを用いることで、夢の脆さと儚さ、ホーム・ワールドとはまた別の意味での郷愁を感じさせる出来となっている。
クロスはほんとうに良曲ばかりで、もはやすべての曲を紹介して回りたいくらいですね。『Day of Summer』、合わせてどうぞ。