VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#068 『ALONE』(伊藤賢治/サガ フロンティア/PS)

www.youtube.com

スクウェアがおくるRPGサガフロンティアより、

伊藤賢治作曲、『ALONE』。生命科学研究所で流れます。

サガシリーズのうち、7作目にして初のPS向けの作品として登場した本作。七人の主人公から一人を選択し、サスペンスやヒーローものやSFに至るまで、様々なテイストのシナリオを追体験していく。リージョンと呼ばれる多種多様な小世界のなかで、それぞれまったく別の物語を背負った主人公たちが繰り広げる群像劇が特徴で、戦闘は従来通りバトル中に新技を閃くことがあるほか、技と技が繋がって特殊な攻撃を生み出す連携システムが新しく導入されている。ごった煮の世界観と相まって、奥深い魅力を持った仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは伊藤賢治氏。当時スクウェアに所属していた作曲家で、Sa・Ga2で目覚ましいデビューを果たして以来、サガシリーズの楽曲を軒並み担当している。氏は本作では雑多な世界観にあわせて、音楽の多面性を表現すべく作曲に挑んだらしく、テクノやロック、プログレなど、様々なジャンルの楽曲が揃っている。特にラスボス戦は七人分の主人公それぞれに専用曲が用意されているなど、当時としてはボリューム満点な出来映えとなっている。サウンドトラックは曲目に記されていないボーナストラックも含めて収録されている。

生命科学研究所というダンジョンで流れるのがこの曲である。生命科学研究所は、その仰々しい名前に反して(制作の事情により)イベントがないダンジョンだが、話しかけると問答無用で戦闘に突入する研究員たちの意味深な台詞が印象的で、そうした特殊な雰囲気を演出するにあたって、簡素ながらも耳に残りやすい旋律が、見事な寂寥感を生み出している。最後まで明かされることのない真実に対するむなしさとやるせなさを、希望と絶望の入り混じった物憂げな調べが静かに表現している。

生命科学研究所は諸々のイベントがお蔵入りになったからこそ、その不気味さと、音楽の素晴らしさが引き立っているように感じます。