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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#073 『女神の詩』(若井淑/ゼルダの伝説 スカイウォードソード/Wii)

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任天堂がおくるアクションアドベンチャーゼルダの伝説より、

若井淑作曲、スカイウォードソードの『女神の詩』。

オープニングなどで流れる本作のメインテーマです。

ゼルダの伝説シリーズのうち、シリーズ25周年の節目の年に発売された本作。天空に浮かぶスカイロフトとその下に広がる森、火山、砂漠の三つの地上世界を舞台に、騎士志望の青年リンクは、行方不明になった幼馴染のゼルダを探すべく、剣の精霊・ファイに導かれて旅出つことになる。ロフトバードと呼ばれる鳥と心を通わせることで、空を自由に駆け巡って冒険を繰り広げていく。Wiiモーションプラスの直感的な操作をそのままアクションに落とし込んだ独創的な手触りが特徴で、一段と歯応えのある戦闘と謎解きを堪能することができる。「濃密ゼルダ」というキャッチコピーに違わぬ骨太な仕上がりとなっている。後にスイッチ向けにHD移植された。

本作の音楽を担当するのは近藤浩治氏、はまたけし氏、藤井志帆氏、横田真人氏、若井淑氏。当時在籍していたがすでに退社済みのはま氏を除き、いずれも任天堂に所属する作曲家たちである。なかでも若井氏は本作ではサウンドディレクターを務めていて、本作のサウンドの要といっても過言ではない。本作では天と地の広大な旅を彩る、オーケストラ調の豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックについては、25周年記念のコンサートで演奏された一部の楽曲を収録した特典CDが存在するほか、発売からちょうど10年後に待望のフルサントラが登場した。

オープニングなどで流れるメインテーマにあたるのがこの曲である。広々と開放感あふれる勇ましい旋律が魅力的で、本作の醍醐味である広大な空のイメージを強く印象付ける。バイオリンやトランペット、フルートなどが一堂に会して奏でる壮大でキャッチーなオーケストラサウンドは、ここからすべての伝説が始まるんだと言わんばかりの力強い迫力に満ちている。この曲にまつわる有名な逸話として、逆再生をするとおなじみ『ゼルダの子守歌』のサビになるという仕掛けもあり、曲そのものの美しさに加えてゼルダらしい小粋な要素も含まれている。メインテーマらしく期待感をぐっと高めてくれるような、非常に生き生きとした躍動感に満ちた一曲である。

遊び心があっていいですね。