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#079 『黄昏をつれて』(森下弘生/ファイアーエムブレムif/3DS)

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インテリジェントシステムズがおくるロールプレイングシミュレーション・

ファイアーエムブレムより、森下弘生作曲、ifの『黄昏をつれて』。

共通シナリオの2章と3章のマップで流れます。

ファイアーエムブレムシリーズのうち、バージョン別で2作品同時に発売された本作。白夜王国の王家に生まれ、暗夜王国で育った主人公は、いずれかの陣営に属して戦争を生き抜くことになる。バージョンごとにシナリオもゲームバランスも異なっていて、白夜王国編では王道寄りのストーリーと比較的易しめの難易度、暗夜王国編では複雑で熾烈なストーリーと特殊条件や縛りの効いた歯応えたっぷりの難易度に調整されている。さらに第三の物語として、DLC専用でインビジブルキングダム(透魔王国)編も存在する。プレイヤーの選択次第で多様な遊び方が用意された仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは金﨑猛氏、甲田雅人氏、近藤嶺氏、馬場泰久氏、森下弘生氏の五名。金﨑氏、馬場氏、森下氏はインテリジェントシステムズに、甲田氏は音楽制作会社デザインウェーブに、近藤氏は音楽制作会社T's MUSICに所属する作曲家である。本作では王国ごとに固有のイメージを定めており、白夜王国は和を、暗夜王国は北欧やケルトを意識したつくりになっている。また、透魔王国は両陣営にも属さない透明感あふれる音色が特徴である。曲数の多さゆえに、本作のサウンドトラックはCD7枚とDVD1枚の計8枚組という大ボリュームである。

共通シナリオの2章および3章におけるマップで流れるのがこの曲である。共通シナリオはどの王国に属するかを決断するまでの序章的な位置づけにある。同じく共通シナリオの4章で流れる、雅楽らしさ漂う『遠い夜明け』(作曲は近藤氏による)とは一味違うケルティックな趣が印象的である。ブズーキと思しき溌溂とした撥弦楽器の音色に、フィドルバグパイプなどの華やかな楽器を組み合わせて奏でられる叙情的な旋律が、民族音楽特有の没入感あふれる哀愁と決意を滲ませている。戦闘時は一部楽器を入れ替えて猛々しさを表現した『黄昏をつれて~焔』にシームレスに移行し、戦場にふさわしい昂揚感を演出している。賑やかであると同時にどこか哀しみを帯びた、独特な奥深さを持つ一曲である。

FEHでも戦闘曲版が採用されていますね。戦闘時の『黄昏をつれて~焔』と『遠い夜明け』もあわせてお聴きください。

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