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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#103 『One Who Craves Souls』(木田俊介/Demon's Souls/PS3)

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フロムがおくるアクションRPGデモンズソウルより、

木田俊介作曲、『One Who Craves Souls』。バッドエンドで流れます。

PS用のRPGキングスフィールドの系譜を継ぐものとして、SCEと共同で開発した本作。古の獣の復活により、色のない濃霧が漂う北の国・ボーレタリアにて、人々からソウルを奪うデーモンたちが徘徊するなか、プレイヤーはデーモン討伐の旅に出ることにいなる。中世の陰鬱な世界観と、初見殺しが飛び交う熾烈な難易度が特徴で、プレイヤーは生身の状態と、一度死んでも魂のみで存在し続けるソウル体(ただしHPの最大値が半減するなど、ペナルティが課される)の二種類を駆使しながら攻略していく。ネットワークを通じて他人の死に様を再現できる血痕システムや、協力・対戦プレイなども完備されている(現在はサービス終了済み)。後のソウルシリーズの礎を築いた硬派な仕上がりとなっている。後にPS5向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは木田俊介氏。映画やドラマの劇伴の分野で活躍する作曲家で、ゲーム音楽についてはコナミのpop'n musicシリーズへの楽曲提供が主である。本作のダークファンタジー調の世界観を表現するにあたって、BGMが流れるシーンを極力減らし、無音ないしは環境音を中心に構成している。その一方で、ボス戦などの要所要所でずしんと響くような重厚なオーケストラサウンドを用いることで、非常に迫力のある、退廃的かつ印象的な楽曲を生み出している。サウンドトラックは日本未発売で、北米版の初回限定盤にのみ付属されているが、リメイク版のサントラは国内でも発売されている。

バッドエンドで流れるのがこの曲である。ピアノとストリングスを軸とした美しくも陰惨な曲調によって、本作の昏く怪しげな作風をよく捉えている。曲全体を通して半音を駆使することで、居心地が悪くなるような不気味さを強く感じさせるが、一方でその気品あふれる音色は、心洗われるような優雅な風情をも漂わせる。曲名は「魂(ソウル)を渇望する者」を意味し、曲のみならずネーミングセンスも冴えている。退廃的な響きのなかに身を委ねたくなるような独特の安寧をもたらす一曲である。

グッドエンディングのアンニュイな曲も良いですね。KOKIAさんの透き通るコーラスが切なく儚く美しくて、とても素敵です。『Return to Slumber』、あわせてどうぞ。

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