VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#104 『文豪とアルケミスト』(坂本英城/文豪とアルケミスト/PC)

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DMMがおくる文豪転生シミュレーション・文豪とアルケミストより、

坂本英城作曲、『文豪とアルケミスト』。タイトル画面で流れます。

実在の文豪たちを題材にした基本無料のアイテム課金ブラウザゲームとして登場した本作。明治期や大正期の近代風情が今なお漂い続ける日本を舞台に、文学書が黒く染まる怪奇現象が発生、プレイヤーは人を転生させることができる特殊能力を持つアルケミストとして、かつて栄華を極めた文豪たちを転生させて立ち向かっていく。文豪たちの部隊となる会派(いわゆるパーティ)を編成し、未知の敵に侵食された文学書に潜り込んで、本来在るべき姿に浄化していくことになる。文豪同士の掛け合いも充実していて、史実に基づいて再現された師弟関係や宿敵の間柄を垣間見ることができる。後にアプリ版も配信された。

本作の音楽を担当するのは坂本英城氏。音楽制作会社ノイジークロークの代表で、本作の世界観監修を務めるイシイジロウ氏とは、428やタイムトラベラーズ3DS版のモンスターストライクなどで仕事を共にしている。本作では、その浪漫的な作風にあわせて、ピアノやストリングスを多用したクラシカルな楽曲が多く揃っている。サウンドトラックは通常のもの(劇伴音樂集)のほか、アレンジ盤としてピアノ独奏音樂集も発売されている。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。どことなく郷愁を誘うレトロな、それでいて洋風の印象を与えるクラシカルな音使いが特徴で、最先端を征く西洋文明に強く惹かれつつ、自国の文化の発展に心血を注いだ近代日本という舞台設定に違わぬ、和洋折衷の絶妙な心地良さを生み出している。流麗なピアノとバイオリンの音色が主旋律を譲り合うなか、優雅に響き渡るオーボエが独特な哀愁を醸し出していて、力強さと切なさが良い塩梅でブレンドされている。ゲームタイトルをそのまま冠した本作の代表曲にふさわしい浪漫あふれる一曲である。

出だしが人生のメリーゴーランドに似ていると言われたりもしてますが、どちらも素敵な曲で好きです。