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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#117 『終わりなき旅路』(植松伸夫/ロストオデッセイ/X360)

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ミストウォーカーがおくるRPGロストオデッセイより、

植松伸夫作曲、『終わりなき旅路』。ワールドマップで流れます。

FFシリーズの生みの親である坂口博信氏率いるミストウォーカーの完全新規タイトルとして登場した本作。機械文明と魔法が高度に融合し、魔導産業革命を迎えた世界を舞台に、千年の時を生きる不死で記憶喪失の傭兵・カイムは、突如出現した小惑星の調査をめぐり冒険を始め、やがては己の正体を知ることになる。坂口氏が製作の指揮を務め、作中で挿話されるサウンドノベルは作家の重松清氏が執筆するなど、オーソドックスな冒険譚ながらも実験的な要素を多く含んでいて、丁寧につくりこまれたゲーム性と相まって手堅い完成度を誇る。

本作の音楽を担当するのは植松伸夫氏。編曲のみの参加で中山博之氏と辺見さとし氏も携わっている。このうち植松氏はおなじみFFサウンドの生みの親であるフリーランスの作曲家で、氏が音楽を手がけることで、どことなく漂う本作のFFらしい雰囲気に拍車をかけている。とりわけ凄まじいインパクトを有するラスボス戦の『亡魂咆哮』を筆頭に、氏の真骨頂ともいえる独特で味わい深い楽曲が数多く揃っていて、ロックにオーケストラにラップなど、目移りするほど表情豊かな音楽が楽しめる。サウンドトラックはボーカル曲も含めて収録されている。

ワールドマップで流れるのこの曲である。アコースティックギターケーナサンポーニャと思しき笛の音を組み合わせた哀愁漂う旋律が特徴で、しばらくは民族音楽特有の切なさと癒しをたっぷり感じさせる。と、そこで1分40秒過ぎたあたりで唐突にハードなエレキギターの音色が轟き渡り、暴力的なまでの勢いで主旋律を掻っ攫う。2分半手前でぱったりとギターが途絶えると、また何事もなかったかのようにアンデス風の民族調に逆戻りする。落差の激しい曲調によって悠久の旅の凄絶さを表現した一曲である。

曲前半はFF11のロンフォールに通ずる静けさと穏やかさがあるような気がします。ロンフォールは安眠できますが、この曲は寝落ちしそうになる度に強引に引き戻されるような感じですかね。話に出た『亡魂咆哮』もあわせて(心して)お聴きください。

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