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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#119 『街』(なるけみちこ/ワイルドアームズ/PS)

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ディアビジョンがおくるRPGワイルドアームズより、

なるけみちこ作曲、初代の『街』。アーデルハイドなどの街で流れます。

荒野と口笛による異色の世界観で知られるワイルドアームズシリーズのうち、記念すべき第1作にあたる本作。魔族の襲来により荒廃した世界・ファルガイアを舞台に、人間離れした強さを持つ少年・ロディ、魔族に復讐を誓う青年・ザック、公女という立場ゆえに複雑なコンプレックスを抱える少女・セシリアは、それぞれの思いを胸に魔族と立ち向かっていくことになる。西部開拓時代という斬新な時代背景のなかで繰り広げられるファンタジックな物語が特徴で、王道でありながらも独創的な魅力を持つ仕上がりとなっている。後に大幅に刷新したリメイク版・アルターコード:Fが登場した。

本作の音楽を担当するのはなるけみちこ氏。編曲のみの担当で外山和彦氏も参加している。なるけ氏はフリーランスの作曲家で、本作以降、リメイクのFにおけるアレンジはもちろんのこと、シリーズサウンドの生みの親としてほぼ毎回携わることになる。マカロニウェスタンな雰囲気を演出すべく、口笛を主軸に据えたメロディアスな楽曲が多く揃っていて、1作目にしてシリーズサウンドの方向性を決定づけることに成功した。サウンドトラックは長らくの間、存在するものの未収録の楽曲が多かったが、リメイクの流れを経て10年越しで完全版が発売された。

アーデルハイドやセント・セントールをはじめとするいくつかの街で流れるのがこの曲である。寂寥感あふれるアコースティックギターの伴奏に、シャリシャリと規則的に鳴るタンバリン、儚くも力強い笛の旋律が組み合わさることで、荒涼としつつも独特な情緒を生み出している。20秒頃からストリングスが入ると、それを境に笛がこれまで演奏していたパートに加えて、より高い音域の旋律を重ねるようになる。最終的には41秒あたりで非常に高く澄んだ音色を奏で、素朴だが心洗われるような美しさを感じさせる。リメイク版のFでは『アーデルハイド城下町』という曲名でアレンジされ、イントロでピアノが登場するほか、新たに後半のサビが追加された。城下町で暮らす人々の生き生きとした活力を滲ませる仕上がりとなっている。

アーデルハイド城下町は原曲よりテンポがすこし遅めですが、そのかわりに原曲にはない盛り上がりがありますね。それでいて原曲の質素で素朴な調子も残している良アレンジで、どちらも大好きです。『アーデルハイド城下町』、あわせてどうぞ。

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