VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#124 『激闘!』(足立美奈子/Riviera ~約束の地リヴィエラ~/WSC)

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スティングがおくるファンタジーRPG・約束の地リヴィエラより、

足立美奈子作曲、『激闘!』。ボス戦で流れます。

スティング製のRPG群・Dept. Heaven Episodesシリーズの第1作にあたる本作。かつて神々が自らの存在を犠牲に魔族の侵攻を退けた悠久の地・リヴィエラにて、千年の時を経て再び魔族復活の兆候が表れたことをきっかけに、神罰を下すべく二人の告死天使が舞い降りることになる。RPGでありながらアドベンチャーやノベルゲームに例えられる一風変わったゲーム性が特徴である。クォータービュー型のフィールド上で、トリガーと呼ばれる十字ボタンに割り振られたアクションを用いることで、ワンボタンで様々な探索行動を取れるため、コマンド選択式に近い感覚で進められる。テキスト量は膨大で、選択肢による物語の分岐、ヒロインの好感度に応じたエンディングのみならず、お色気シーンも含まれ、独特な密度のあるファンタジー世界を楽しむことができる。ジャンル横断的で多方面で意欲的な仕上がりとなっている。後にキャラクターデザインの刷新やボイスの追加など変更点を加えたうえでGBAPSPに移植された。

本作の音楽を担当するのは足立美奈子氏。当時、音楽制作会社ピュアサウンドに所属していた作曲家である。本作以降、D.H.Eシリーズサウンドに長く携わることになる。本作では、波形メモリ音源から成るワンダースワン音源の性能を余すことなく引き出した情熱的な楽曲が揃っていて、特に戦闘曲はどれも疾走感たっぷりの出来栄えである。サウンドトラックはフルアレンジを施したものと、PSPGBA・WSC音源をすべて網羅したPerfect Audio Collection Plusが発売されている。

ボス戦で流れるのがこの曲である(上記動画の開始~1分52秒あたりまでがワンダースワン音源で、以降、GBA音源→PSP音源→フルアレンジ)。開始早々に荒々しく音階を下るイントロで一際強いインパクトを生み出した後、伸びのある勇壮な主旋律が勢いたっぷりに奏でられる。ともすればノイズにも聴こえ兼ねないざらついたパーカッションは、戦闘の手ごわさを表現するにふさわしい激しさがあり、キレのある主旋律と相まって迫力満点な聴き応えを感じさせる。激闘という曲名にぴったりな苛烈で尖鋭的な一曲である。

GBA版は全体的に丸みを帯びたアレンジと言いますか、WSCほど尖った感じはしませんが、これはこれで聴き心地が良いです。PSP版は音源が一段と進化したこともあり、エレキギターを用いたヴィヴィッドなアレンジになっていて、これもなかなか。個人的にはWSC版推しです。