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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#125 『廃獄ララバイ』(ZUN/東方地霊殿 ~ Subterranean Animism./PC)

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上海アリス幻樂団がおくる弾幕シューティング・東方Projectより、

ZUN作曲、地霊殿の『廃獄ララバイ』。5面の道中で流れます。

東方Projectのシリーズ第11弾として2008年の夏コミにて頒布された本作。突如湧き出た間欠泉とともに現れた地霊をめぐり、またもや霊夢たちは異変の原因を探ることになる。自機とあわせて武器の代わりに支援キャラを選択し、力を借りながら異変を解決していくというシステムを取っていて、スコア稼ぎの要素として新登場した交信強度により、自機を画面の上部に移動させるか、敵弾にかするかして、ゲージを溜めていくことで、得点アイテムを入手した際にボーナスがつく仕組みとなっている。弾の速さや多さに圧倒され兼ねない、比較的シビアな難易度に仕上がっている。

本作の楽曲を担当するのはZUN氏。おなじみ上海アリス幻樂団の主宰である作曲家兼マルチクリエイターである。本作では変拍子や効果音といった変化球を楽曲のなかに組み込むことで、楽曲全体に独特な味わい深さを生み出している。例の如くMusic Roomには神主のコメントも用意されていて、楽曲ごとに様々な工夫が凝らされている様子を窺うことができる。

5面「昔時の業火」の道中で流れるのがこの曲である。吹き荒ぶ突風の呻き声から始まり、15秒ほどしてそれがおさまると、今度はアコースティックギターの音色が物憂げに掻き鳴らされる。笛の穏やかな音色を交えながら民謡風の郷愁をたっぷり漂わせ、1分5秒あたりから流れが変わると、続く1分15~17秒頃で目まぐるしいアルペジオを奏で、サビに向けて着実に勢いを蓄えていく。サビではトランペットを響かせて哀しくも派手に盛り上がり、それもおさまると最後に再び風が吹き抜ける。灼熱の地獄に送る子守歌にふさわしい、穏やかだが力強い哀愁に満ちた一曲である。

最初と最後の風の音がいいですよね。