VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#138 『女の子にはセンチメンタルなんて感情はない』(TAMAYO/レイクライシス/AC)

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タイトーがおくる縦スクロールシューティング・レイクライシスより、

TAMAYOこと河本圭代作曲、『女の子にはセンチメンタルなんて感情はない』。

ステージ曲の一つ。

レイフォースレイストームと続くレイ三部作の最終作にあたる本作。全世界を結ぶニューロネットワークシステム・Con-Humanのおかげで繁栄を続けてきた近未来を舞台に、Con-Humanは暴走により人類排除を選択、滅びゆく人類を救うべく、ネットワーク接続媒体・Wave Riderを用いてネットワーク内部へと侵入することになる。レイフォースの前日譚であり、時間の経過や敵の生存状況に応じて増加する侵食率システム(ゲージが100%に達すると強制的にラスボス戦に移行し、撃破してもバッドエンド必至)や、複雑な手法で選択・難易度調整されるステージセレクトシステムなど、実験的な要素が数多く詰め込まれている。シリーズおなじみの独創的でストラテジックなゲーム性は健在で、衝撃的なシナリオと相まってかなりの意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのはTAMAYOこと河本圭代氏。当時、タイトーサウンドチーム・ZUNTATAに所属していた作曲家である。収録されている曲の題名の奇天烈さもさることながら、音楽そのものもエクスペリメンタルな要素を取り入れていて、ブレイクビーツエレクトロニカ系の楽曲が、幻想的で美しいハードSFの世界観に拍車をかけている。サウンドトラックのライナーノーツには本作の公式ストーリーとは別に、氏が想像したオリジナルストーリーが付属されていて、こちらは読物としても、その晦渋さと奥深い物語性を存分に楽しめる仕上がりとなっている。

本作のBGMは少々特殊な方法で選出され、ゲーム開始時にあらかじめ決定された2面のステージの種類によって、1面から4面まで通しで流れるBGMが確定するが、そのうち2面が水中エリア「CONSCIOUSNESS PART(意識領域)」のときに流れるのがこの曲である。15分にも及ぶ大作で、題名から察せられる通り、無機質で無表情な、ミニマルテクノ調の電子音が特徴で、ほとんど起伏がないまま同じリズムが延々と反復する。が、合間合間にどこからともなく湧き上がるようにメロディアスな旋律が挿入され、冷淡な静けさのなかに確かな情熱と生の鼓動を感じさせる。ショッキングな題名にふさわしい、インパクトあふれる一曲である。

曲名が好きで、ふと何かの拍子に曲名を思い出しては聴き入ってしまいます。