コーエーテクモがおくるダーク戦国アクションRPG・仁王より、
戦国死にゲーという謳い文句で登場した本作。イングランドの元海賊の青年・ウィリアムは、アムリタと呼ばれる強大な霊石を感知する力を持つ相棒の守護霊・シアーシャを攫われたことをきっかけに、元凶を追って魑魅魍魎蔓延る戦国の日本に辿り着き、青き目の侍となって生死を賭けて戦うことになる。和風ダークソウルとも言うべき心置きなく死ぬことができる高難度が特徴で、刀や槍など5種類の武器（＋DLCで2種類追加）に忍術・陰陽術を加えた多彩かつ骨太なアクションが楽しめる。妖艶なグラフィック、立ちはだかる強敵たち、ヒロインのお勝をはじめとする個性豊かなキャラクターたちが彩る戦乱と波乱に満ちた世界観、どれをとっても深く練り込まれていて、長い構想期間を経て開発された大作にふさわしい仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは菅野祐悟氏。大河ドラマを筆頭に数多くの劇伴を手がけてきた作曲家で、ゲーム音楽の方面では過去にダウンロード専用のアクションアドベンチャー・rainを担当して以来、本作が二度目の作曲である。さながら映画のような雰囲気を醸す本作にあわせて、本作では映像に寄り添ったダイナミックな楽曲が揃っている。とりわけ戦闘曲が豊富で、和楽器とオーケストラを組み合わせた重厚な音使いが激しい戦闘を緊張感たっぷりに盛り上げてくれる。サウンドトラックは主題歌を除き収録されている。
お勝戦で流れるのがこの曲である。史実に基づかないオリジナルキャラクターで、家康の実の娘という設定で登場する優秀なくノ一である。ざわめくような笛のイントロから始まり、柔らかなハープと優艶な歌声で穏やかな癒しの曲調を印象付けるも、12秒から切迫したストリングスが加わり、一気に強敵然とした威圧感を放つ。終始落ち着き払いながらも確固たる信念を滲ませる隙のない曲調は、若さ、強さ、美しさの三拍子を兼ね備えたお勝の特徴をよく捉えていて、35秒以降に入る胡琴のオリエンタルな響きも相まって独特な風情を生み出す。乱世の空気感と戦闘の緊張感を醸しつつ、甘美な魅力をも併せ持つ一曲である。
曲名にIIとあるので、もちろんIもあります。穏やかで切なくて洗練された音色が印象的な『Okatsu I』もあわせてどうぞ。
