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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#165 『負けるわけにはいかない!』(弓島隆子/パワポケダッシュ/GBA)

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コナミがおくる野球バラエティ・パワポケダッシュより、

弓島隆子作曲、『負けるわけにはいかない!』。全国大会決勝戦で流れます。

プロ野球を題材とする実況パワフルプロ野球の姉妹作として、任天堂の携帯機ハードを中心に展開する波乱万丈な野球バラエティ・パワプロクンポケットシリーズ、そのさらなる派生作として登場した本作。不慮の事故でボールに転生してしまった父親を野球の神さまの力で生き返らせるべく、主人公は蘇生の条件として少年野球で日本一を目指すことになる。野球は野球でもカード野球という簡略化したゲーム性が特徴で、投球と打球の威力とコースをカードで決めて簡単操作で野球を楽しむことができる。メインストーリー(表サクセス)の親父ボール編に加えて、裏サクセスとしてローグライク風のダンジョンRPGも用意されている。密度の濃いシナリオと独特なノリが印象的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは大久保悟氏と弓島隆子氏。両名とも当時コナミに所属していた作曲家で、本作以外にもパワプロシリーズを幅広く手がけている。このうち弓島氏は本作では全曲作曲していて、大久保氏はその他のサウンドまわりを担当している。シリーズ伝統の、破天荒で型破りな世界観を大きく盛り上げる情熱的な楽曲が、本作も一通り揃っている。また、本作はGBA最終期、すでにDSが発売されて久しい時期に登場したことから、かなり円熟したクオリティのGBA音源が用いられている。サウンドトラックは長らく未発売だったが、15年越しに歴代シリーズのサントラ全曲配信に伴って各種デジタルストアに登場した。

全国大会決勝戦、ようやく上り詰めた最高の大舞台で流れるのがこの曲である。イントロから一切出し惜しみしないパワフルな音色が特徴である。限界を突き破るような目まぐるしい高音のアルペジオから始まり、続いて奏でられるヒロイックな旋律は、主人公の複雑な境遇を表現するにふさわしいメロディアスな印象を与える。主旋律の迫力はもちろんのこと、伴奏部分で下支えするベースラインや、随所でドコドンと鳴る力強い太鼓がうまく絡み合いことで、非常に濃厚な聴き応えを感じさせる。最終試合にて繰り広げられる両チームの意地と意地のぶつかり合い、球児たちの負けられない思いが凝縮された一曲である。

すごくいいですね。アルペジオGBA音源の親和性が素晴らしいです。