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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#170 『Dearly Beloved』(下村陽子/キングダム ハーツ/PS2)

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スクウェアがおくるアクションRPGキングダムハーツより、

下村陽子作曲、初代の『Dearly Beloved』。タイトル画面で流れます。

エンターテインメント産業で世界一の人気と知名度を誇るディズニーとスクウェアが手を組んで開発した本作。夜空の星々が無数のワールドを形作る光の世界を舞台に、心なき怪物・ハートレスによって故郷を奪われ、幼馴染と離別した少年・リクは、鍵形の武器・キーブレードを手に入れたことをきっかけに、ドナルドダックとグーフィーとともに世界を巡る旅に出ることになる。ドナルドダックといったディズニーキャラと、クラウドやエアリスといったFFキャラ、さらにオリジナルキャラのソラたちが織り成す壮大な物語が特徴で、戦闘システムは基本的にコマンド式で行動を選択しつつ、コマンドとは関係なく移動や回避などの操作が自由にできる爽快感のある仕組みとなっている。異色のコラボ作品でありながら非常に手堅い完成度を誇り、英語音声版のファイナルミックスやリマスター版のHD1.5リミックスなど、再三にわたり移植されている。

本作の音楽を担当するのは下村陽子氏。当時スクウェアに所属していた作曲家で、本作はスクウェア在籍時代の最後の担当作品である。キングダムハーツシリーズには、石元丈晴氏と関戸剛氏も参加したBbsと3Dを除き、すべて単独で作曲している。氏の手がけた美しい楽曲の数々は本作の評価を高める大きな要因であり、本作オリジナルの楽曲はもちろん、ディズニー側の曲も一部本作用にアレンジするなど、細部まで凝った仕上がりとなっている。サウンドトラックはオリジナル盤のほか、ファイナルミックス版の追加曲も含めてシリーズの楽曲を網羅したコンプリート盤が発売されている。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。シリーズ通してタイトル画面にはこの曲があてられていて、毎度様々な趣向を凝らして生まれ変わるシリーズの代表曲でもある。しっとりとしたピアノの音色で奏でられる情緒あふれるメロディーは、短いながらもとても耳に残りやすく、シンプルながらも非常に聴き心地が良い。実際のゲーム画面では波の効果音が顕著に響くことで、ますます儚さに磨きをかけている。リマスター版では生演奏を取り入れていて、より厚みの増したピアノとバックのコーラスが、いっそう切なく響き渡る。優しく親しみやすい旋律によって一瞬にして記憶に刻まれるような象徴的な一曲である。

たくさんアレンジがありますが、ここで紹介するのは生演奏のHD1.5リミックスと、χの楽しげなアレンジにします。あわせてどうぞ。

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