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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#171 『墜落船フリゲートオルフェオン』(山本健誌/メトロイドプライム/GC)

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レトロスタジオがおくるシューティングアドベンチャーメトロイドプライムより、

山本健誌作曲、『墜落船フリゲートオルフェオン』。

墜落したオルフェオンで流れます。

メトロイドシリーズのうち、サイドビュー型の2D探索アクションの流れを汲む本家シリーズとは異なるFPS型のスピンオフ作品として登場した本作。生物を変異させる特殊なエネルギー物質・フェイゾンをめぐり、バウンティハンターのサムス・アランは壊滅したはずのスペースパイレーツと再び対峙することになる。メトロイドシリーズ初の3D作品として、主観視点で直感的に移動して照準を合わせる快適な操作性が特徴で、目に見えない仕掛けを可視化する複数のバイザーを使い分けながら探索を進めていく。四種のビームによる多彩な攻撃手段、好奇心をそそる美麗かつ繊細なグラフィック、3Dならではの奥行きのあるゲームプレイなどと相まって、非常に手堅い完成度を誇る仕上がりとなっている。後にWiiに移植された。

本作の音楽を担当するのは久馬浩一氏と山本健誌氏。いずれも本作の発売元である任天堂所属の作曲家で、このうち山本氏はスーパーメトロイド以降、シリーズのほとんどの作品に携わっている。本作ではダークな世界観にあわせたアンビエント調の無機質なサウンドが特徴で、緊迫感に満ちたミスティックな音使いが、秀逸な演出共々独特な空気感を生み出している。サウンドトラックは同時期に発売されたメトロイドフュージョンの楽曲とあわせて収録されている。

『クラッシュオルフェオン』という別名で知られるこの曲は、ターロンオーバーワールドにて、スペースパイレーツの船・フリゲートオルフェオンが墜落した場所で流れるものである。ゆったりと奏でられるクリーンなピアノの音色に、怪しげで不気味な環境音が融合し、安らかな退廃感を生み出している。その旋律の美しさと、得も言われぬ奇怪さが、無残にも水没してしまった船に弔いの意を表するかのような印象を与える。きらきらと明滅する効果音が、心地良い安寧と畏怖を印象付け、無心で聴き入りたくなるような魅力に満ちた一曲である。

プライムの新作を日々心待ちにしています。