VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#175 『Fire Wire』(菊田裕樹/双界儀/PS)

www.youtube.com

神道や陰陽、風水の概念を取り入れたスクウェアアドベンチャーゲーム

双界儀より、菊田裕樹作曲、『Fire Wire』。高千穂で流れます。

90年代後期、RPGだけをつくるメーカーというイメージからの脱却を図るべく、様々な試行を重ねていたスクウェア。その一環として誕生した本作は、万葉集といった日本古来の書物を参考に、万物流転と陰陽五行の観念を色濃く反映した、圧倒的な深さを持つ和の世界観が特徴である。富士山崩壊から始まる衝撃的なストーリーなど、本作はその設定の斬新さが高く評価される一方で、肝心の操作性にはすくなからぬ難があることでも知られている。

本作の音楽を担当するのは菊田裕樹氏。聖剣伝説シリーズを務めた氏は、本作がスクウェア在籍時の最後の担当作である。PSのハード性能の限界に挑戦する勢いで生演奏と生収録を徹底した本作の楽曲群は、いずれもエキゾチックな魅力を湛えた会心の出来栄えである。ゲーム中では古語を中心に、アラビア数字までもを排した厳格な和の表記が見受けられるなか、サウンドトラックにある曲名はすべて横文字に統一されていて、緩急自在のダイナミックさが窺える。

古くから天孫降臨の地として語り継がれる高千穂、そのステージで流れるこの曲は、棘々しく響き渡るバイオリンの音色が何より耳に残る一曲である。何人たりとも寄せ付けない威圧感を放つ主旋律に、臆することなく寄り添うピアノの洗練された伴奏と、メリハリの利いたパーカッションが一体となって、鮮烈な爽快感と疾走感を生み出す。曲の後半では一旦自由奔放なピアノソロが挿入され、最終的には大胆に和音を駆使したバイオリンで締めくくることで、ここに至るまでにとことん高められたエネルギーは、一気に完全燃焼する。

ウィキペディア双界儀の記事の充実ぶりたるや、思わずぞっとしますね。ありがたいですけれども。