カプコンがおくるハンティングアクション・モンスターハンターより、
成田暁彦作曲、ワールドの『禁断の地へと誘う獣らの囁き』。
瘴気の谷の汎用ボス戦で流れます。
モンハンシリーズのうち、しばらく携帯機で展開していたなかでも久々の据置機用の完全新作として登場した本作。新大陸で発生する謎の現象・古龍渡りを調査すべく結成されたギルド・新大陸古龍調査団の一員として、若きハンターは古龍ゾラ・マグダラオスの足跡を追うことになる。従来から舞台を一新して、本作ではシームレスに広がる巨大な新大陸が狩猟の場になった。これに伴い、自然描写やモンスターグラフィックなどを中心に、今まで以上に立体感や迫力が強化された点が大きな特徴である。武器のアクションやバランスが見直されたほか、新システムとしてモンスターを見失っても痕跡を辿って追跡してくれる頼れる案内係・導蟲が導入された。また、硬直モーションや各種消耗品の仕様などシリーズで培われてきた要素が極力簡易化された。シリーズに新たな広がりをもたらした仕上がりとなっている。後にSteamに移植された。
本作の音楽を担当するのは小見山優子氏、成田暁彦氏、牧野忠義氏、康貞蘭（Zhenlan Kang）氏。成田氏と康氏（シリーズ初参戦）はカプコンに所属する作曲家で、小見山氏と牧野氏は以前カプコンに所属していた作曲家である。モンハンサウンドおなじみの本格的なオーケストラサウンドは本作でも健在で、命が息づく狩猟の世界を鮮やかに印象付けてくれる。フィールドごとに一人の作曲家が、昼と夜、小型・中型・大型モンスター戦、大型の追跡時の計6曲をまとめて作曲していて、メリハリ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックはオリジナル盤のほか、大型拡張版のアイスボーンについても個別のサントラが存在する。
固有の戦闘曲を持たない汎用大型モンスター戦のうち、瘴気の谷のボス戦で流れるのがこの曲である。電子オルガンと思しき音でぎらぎらと闘志をみなぎらせる独創的なイントロから始まり、重厚なストリングスとピアノのアンサンブルがもたらす生気に満ちた旋律が、じりじりと焦らしながらサビへと繋いでいく。ようやく訪れたサビで奏でられる、獣らの息遣いをじかに感じさせる開放感たっぷりの勇壮な音使いは、歴戦のハンターたちを血湧き肉躍る戦闘へと駆り立てる。狩りの緊張感を音の隅々にまで浸透させた一曲である。
追跡時は『禁断の地へと誘う獣らの囁き:The Chase』という曲に切り替わり、こちらは勇ましさよりも恐ろしさを、張り詰めた空気感を漂わせる一曲です。あわせてどうぞ。
