VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#192 『Gray hued』(DEKU/ソラ/PC)

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橙汁がおくるハイスピードシューティング・ソラより、

DEKU作曲、『Gray hued』。1面の曲で、意味は「曇天の」「鈍色の」など。

主に同人ゲーム界隈でシューティングを制作している橙汁のうち、ステージクリア型横スクロールシューティング・スグリの続編として登場した本作。前作の一万年前を舞台に、戦争で荒廃し切った地球の最終兵器として改造された少女・ソラは、戦う意味も見出せぬままボロボロになった星を救うべく奮闘することになる。柔らかい絵柄からはおよそ想像がつかない、硬派な難易度と尖ったゲーム性が特徴で、超高速で敵のビーム攻撃をすり抜けるダッシュにより、アクション要素の強い弾幕シューティングに仕上がっている。後にSteamでも配信された。

本作の音楽を担当するのはDEKU氏。橙汁製の作品には軒並み携わっているフリーの作曲家で、前作のスグリに引き続き作曲している。氏の得意とするテクノ・トランス調のサウンドは、前作同様、本作においても一際存在感を放っている。また、本作ではスグリと同名の曲がいくつか収録されているが、いずれもマイナーアレンジが加えられている。サウンドトラックはオリジナル盤のほか、エクストラパッチの追加曲も別個で発売されている。

1面道中で流れるこの曲は、曇天に閉ざされた空のもと、いきなりの容赦ない砲撃とともに流れ出す爽快感たっぷりな一曲である。開始早々から本作特有の操作に慣れないプレイヤーを瞬殺しかねない歯応えが、メロディーラインの美しさとともに鮮明に記憶に焼き付けられる。ピアノの素朴で浮遊感あふれる音色が、サビでようやく登場する、人工的な響きを持つストリングスの機械音と合わさって、テクノサウンドが織り成す独特な心地良さを簡潔に表現している。

いくつかアレンジがあってどれがおおもとなのかあまり判然としませんが、これはおそらくSteam版で収録された音源でしょう。何にしても綺麗な曲です。