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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#193 『Crime of the Heart』(笹井隆司/ルドラの秘宝/SFC)

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スクウェアがおくるRPGルドラの秘宝より、

笹井隆司作曲、『Crime of the Heart』。リザの章でのフィールドで流れます。

スーファミ最終期、2か月後には64の発売が迫った時期に登場した本作。4000年の周期で種族の滅亡と再生が繰り返される世界を舞台に、様々な事情で秘宝・ジェイドをその身に宿した四人の主人公は、もうじき4000年の節目を迎えて再び襲い来る滅びに立ち向かうべく冒険に出ることになる。任意の文字列を入力して多様な効果を持つ魔法をつくり出すという言霊システムが特徴で、非常に活き活きと動くグラフィックや、複数の視点が絡み合って紡がれる丁寧かつ壮大なシナリオ構成なども相まって、スーファミ最高峰と評されるほど隅々まで奥深くつくり込まれている仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは笹井隆司氏。当時スクウェアに所属していた作曲家で、それ以前にはマイクロキャビンやクリスタルソフトなど、各地を転々として作曲をおこなってきた。本作の楽曲は、いずれもスーファミというハードの持てる力を解き放った上質な音源で奏でられる良曲揃いで、ファンタジーの作風を色濃く彩ってくれる。また、フィールドおよびボス戦の曲は主人公ごとに専用のものが用意されていて、ボス戦はフィールド曲の戦闘曲アレンジという仕組みになっている。サウンドトラックは通常盤のほかデジタル配信もされているが、一部未収録の曲も存在する。

リザは、汚染された大地にて生まれつき大自然の声を聴くことのできる力を持った女性主人公である。行方不明の母を探しつつ、世界を浄化させるべく旅立つ彼女を操作する際のフィールド曲として流れるのがこの曲である。柔らかな笛の音とハープの音から始まり、悲劇的な哀愁を漂わせて紡がれるストリングスの旋律は、悲しさのなかに確固たる使命感を滲ませている。自身に課せられた重すぎる宿命と、それに敢然と立ち向かう意志の強さが、素朴ながらも雄大な曲調で見事に表現された一曲である。

リザの章のボス戦『The Flame and the Arrow』もあわせてどうぞ。あとサントラ未収録ですが夜は別アレンジなので、そちらもどうぞ。

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