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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#196 『3rd Time's the Charm』(柴田徹也・米田悦子/バイオハザード アウトブレイク/PS2)

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カプコンがおくるサバイバルホラーバイオハザードより、

松本晃彦作曲、柴田徹也・米田悦子編曲、

アウトブレイクの『3rd Time's the Charm』。

タナトスとの通算三度目の勝負で流れる戦闘曲で、意味は「三度目の正直」。

サバイバルホラーの金字塔であるバイオハザートシリーズのうち、オンラインプレイに重きを置いたスピンオフ作品として登場した本作。アメリカ中西部のラクーンシティを舞台に、突如発生した生物災害により、街はゾンビにあふれかえることになり、非力な一般市民たちは命懸けの逃走劇を繰り広げることになる。5本の短編を8人のプレイヤーキャラの視点で攻略していき、キャラは軒並み特殊な力を持たない一般市民ばかりである(武器や固有アクションはあるため、非力だが無力ではない)。最大4人までのマルチプレイが可能で、他のプレイヤーと一緒に臨場感たっぷりの恐怖体験を味わうことができる。オンラインサービスは2011年に終了した。

本作の音楽を担当するのは甲田雅人氏、柴田徹也氏、高野充彦氏、長谷川憲人氏、松本晃彦氏氏、米田悦子氏の六名。松本氏と甲田氏(発売前にカプコンを退社した)を除き、いずれも当時カプコンに所属していた作曲家たちである。松本氏は踊る大捜査線シリーズなど、主に映画やドラマの劇伴を作曲することが多く、ゲーム方面では本作にのみ携わっている。本作では上田雅美氏ら本家シリーズの作曲家こそ参加していないが、シネマティックな作風に合わせた緊張感あふれる楽曲が一通り揃っている。サウンドトラックの曲名には使用箇所も併記されている。

何度も行く手を阻むタナトスは、死神の名を冠したタイラント(究極の生物兵器)である。タナトスRとして再誕し、三度目の決戦、すなわちラストバトルで流れるこの曲は、メインテーマにあたる『BIOHAZARD OUTBREAK MAIN TITLE THEME』(松本氏の作曲)の戦闘曲アレンジである。じっくりと徐々に盛り上げていくオーケストラ調の優雅なメインテーマから一転、この曲は出し抜けに響き渡る悲愴なコーラスから始まり、続いて思わず戦慄が走るほどの切迫感を音の一つ一つに滲ませている。楽器とテンポを弄ることで曲そのものの印象ががらりと変わる好例である。

ラスボス戦がメインテーマアレンジというのは常套手段ですが、いいものですね。ぜひメインテーマと聴き比べてみてください。

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