VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#197 『スメリア』(和泉宏隆/アークザラッド/PS)

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SCEがおくるRPGアークザラッドより、

和泉宏隆作曲、『スメリア』。スメリアのフィールドで流れます。

「光と音のRPG」というキャッチコピーで登場した本作。人と精霊とモンスターが共存する世界を舞台に、神の遺産である聖櫃が眠るとされる島国・スメリアの辺境に住む少年・アークは、巫女の少女・ククルと出会い、勇者の力に目覚めたことをきっかけに、迫る世界の危機に向けて聖櫃の封印を解くための旅に出ることになる。美麗なグラフィックや大迫力の演出効果による「光」と、上質な音楽や洗練された効果音による「音」とがフィーチャーされたシミュレーションRPGである。シナリオは続編ありきで未完ながらも壮大さが光る仕上がりとなっている。後に完結編として名高いIIが発売された。

本作の音楽を担当するのは安藤まさひろ(現在の名義は漢字表記で正容)氏と故・和泉宏隆氏。フュージョンバンド・T-SQUAREのメンバーである。安藤氏は後のシリーズの作曲に幅広く携わっているなか、和泉氏は本作のみの参加で、フィールド曲を担当している。前述の通り良質なサウンドが揃っていて、ファンタジーの世界観を心地良く彩ってくれる。サウンドトラックについては、オリジナルという名前が付いたものはアレンジ音源、コンプリートという名前が付いたものは続編の楽曲も含めてオリジナル音源が収録されている。

スメリアのフィールドで流れるのがこの曲である。ハルシオン大陸の極東に位置する島国で、アークの故郷である辺境のトウヴィルがある。そのフィールドを、琴に和太鼓に尺八といった和楽器をふんだんに用いた実り豊かな曲調で彩る。極東の島国という設定から窺える通り、その曲調はいかにも日本的な郷愁と寂寥を漂わせる。その一方で、旅人を鼓舞するかのように反復する旋律は、故郷からの門出を飾るにふさわしい力強い情緒に満ちている。切なげだがしたたかな印象を与える一曲である。

本作の楽曲は続編でも多く使い回されていますが、これは使われてないんですよね。