すぎやまこういち作曲、3DS版7の『失われた世界』。過去のフィールドで流れます。
ドラゴンクエストシリーズのうち、ナンバリング7作目にしてシリーズ初のプレステでの作品として登場した本作。開始直後のマップは島一つ分しかないという異例の狭さだが、各地に点在するふしぎな石板を集めることでみるみる版図を広げていくことになる。時空を越えた石板集めを軸に、本作は膨大なボリュームを誇り、新ハードへの移行に伴いグラフィックやサウンド面も順当に進化した仕上がりとなっている。発売から13年後に3DS向けにリメイクされ、遊びやすさが向上した。
本作の音楽を担当するのは故・すぎやまこういち氏。シリーズおなじみの作曲家である。シリーズでも特に暗い展開の多い本作では、落ち着いた旋律を奏でるクラシック調の雅な楽曲がいつも以上によく映える。3DS版では東京都交響楽団による本格的なオーケストラ演奏が収録されていて、より迫力のあるサウンドを堪能できるようになった。サウンドトラックはPS版のオリジナル音源や3DS版のアレンジ音源を収録したもの、ほかにもロンドンフィルによる演奏を収録したものなど、複数種類存在する。
過去の世界のフィールドで流れるのがこの曲である。過去の世界は波乱に満ちていて、いくつもの濃密な物語が展開することになる。その重厚さを体現するかのように、気品と寂寥がバランスよく融合したオーケストラ調で実り豊かに彩る。原曲譲りの物憂げな曲調に、繊細なハープ、透き通るようなフルート、哀しみを帯びたストリングスを軸とした生の音色が絡み合うことで、本作の雰囲気を丸ごと写し取ったような深い憂愁を漂わせる。終始暗澹としつつ、それでも絶望とは程遠い、儚くも力強い魅力にあふれた一曲である。
石板集め、懐かしいですね。原曲もあわせてどうぞ。
