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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#202 『タコ殴り』(柳川和樹/シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~/PS3)

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ガストがおくる錬金術RPG・アトリエより、

柳川和樹作曲、シャリーの『タコ殴り』。オクトパスやテンタクルス戦で流れます。

材料を調合して道具を生成する錬金術士の奮闘を描くアトリエシリーズのうち、滅びゆく世界を舞台とする黄昏三部作の最終作として登場した本作。水涸れにより滅亡の危機に瀕した故郷を救うべく立ち上がる錬金術士の少女・シャリステラと、知識と経験不足によりまったく儲からないアトリエを経営するも、いつか大成する野望を持つ錬金術士の少女・シャルロッテは、互いの目的のために奔走することになる。前作のエスロジ同様、二人のシャリーをダブル主人公として据えていて、従来までの日数制限を廃止し、戦闘システムも行動の蓄積により発動できるバーストモードが新たに導入されるなど、意欲的な要素が多い。シナリオ面は、後に発売されたVita版のPlusにて黄昏の歴代主人公再集結とともに大幅に強化された。

本作の音楽を担当するのは浅野隼人氏、阿知波大輔氏、柳川和樹氏の三名。当時、浅野氏はガストに所属していて、阿知波氏と柳川氏は在籍経験はあるもののフリーランスとして活動している作曲家である。また、Plusでは編曲と新規作曲に矢野達也氏も参加している。黄昏シリーズならではの退廃的な世界観を反映した民族音楽調は本作でも健在で、特に戦闘曲を中心に集大成らしく力強い盛り上がりを見せるものが多い。サウンドトラックはインストゥルメンタルのものを収録したものと、挿入歌などのボーカル曲を収録したものが存在する。

オクトパスやテンタクルスなどのタコ型モンスターと対峙する際に流れるのがこの曲である。バンドネオンの短音を効果的に用いたタンゴ風のダンサブルなリズムから始まり、そこに鋭利なエレキギターの音色が加わると、サビではその両方が重なり合って一つに融合する。民族音楽特有の寂寥感に、ロックサウンド特有の激しさが組み合わさり、さらには曲名の巧みさも相まって、字義通り延々と殴り続けられる、もとい聴き続けられる中毒性を持つ。独特な哀愁と魅力を誇る一曲である。

サビからループに至るまでの怒涛の展開が好きです。