VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#268 『psychedelic』(石元丈晴/すばらしきこのせかい/NDS)

www.youtube.com

スクエニがおくるアクションRPGすばらしきこのせかいより、

石元丈晴作曲、『psychedelic』。通常戦闘曲の一つ。

シブヤの街を舞台にした七日間のデスゲームを描いた本作。DSならではの上下二つの画面を同時に操作する斬新な戦闘システムや、シブヤの若者文化を取り入れた服、装飾品、食事といったアイテム類、そして癖が強く魅力的な登場人物が織り成す複雑な人間ドラマが特徴である。やり込み要素も充実していて、クリア後に明かされる物語の真実や、それとは別に用意されているアナザーデイと呼ばれる荒唐無稽なパラレルストーリーなど、隅々まで堪能できる仕上がりとなっている。後にアプリ向けに移植されたほか、新規シナリオを追加したスイッチ版も登場した。

本作の音楽を担当するのは石元丈晴氏。当時スクエニに所属していた作曲家である。本作はムービーを削って音楽に容量を割いたという逸話があるくらいサウンド面に注力している。シブヤの空気感を余すことなく表現すべく、収録されている楽曲の大半はボーカル曲で、海外版やアプリ版などに移植されるたびに新曲が追加されている。拍手や歓声、ノイズが混じっているなど、ライブパフォーマンス風のストリートミュージックが多数を占める。サウンドトラックはオリジナル盤、海外盤、追加曲を収録したものなど、各種取り揃えられている。

複数用意されている通常戦闘曲のうちの一つがこの曲である。ボーカル曲が多数を占める本作のなかでは珍しく歌が入っていない純粋なインストゥルメンタルである。作中で入手できるCDによると、「高速連射リズムの波に心地よく酔える曲/この1曲さえあれば朝まで踊りあかせそうなほど起伏と展開の激しい要注目のサウンド」と評されている。イントロこそ吼えるようなインパクトがあるが、以降は激しい勢いを維持しつつ、反復の多い曲調でストイックな印象を与える。40秒過ぎでようやく流れが変わると、エレキギターの荒い音色にシンセの浮遊感のある音色が重なり合って、独特な陶酔感を生む。歌がなくてもシブヤの世界観を見事に反映した一曲である。

CDのフレーバーテキストを確認するために久々にDSを起動したら、面白くてつい読み耽ってしまいました。ついでに一覧化しておきました。

thytimes.hatenablog.com