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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#276 『祝祭の間の決戦』(土屋俊輔/STELLA GLOW/3DS)

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イメージエポックがおくる剣と魔法のメロディアSRPGステラグロウより、

土屋俊輔作曲、『祝祭の間の決戦』。エルクレスト戦などで流れます。

今は亡きイメージエポック創業10周年の記念作として、同社の事実上の遺作となった本作。歌の力によって繁栄と戦乱を繰り広げた世界を舞台に、呪いの歌で大地を結晶化させる滅びの魔女・ヒルダに立ち向かうべく、レヴナント王国騎士団に所属する少年・アルトは、自身に眠る指揮者の力を開花させて、味方の魔女を調律して世界を救うことになる。ルミナスアークシリーズの流れを汲む王道ファンタジーで、歌と声をフィーチャーした豪華な音楽とキャラクターボイスと、オーソドックスにまとめられたシナリオとが特徴である。ストーリー、グラフィック、システムのいずれも集大成の名に恥じないクオリティを誇る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは光田康典氏と土屋俊輔氏。光田氏率いる音楽制作会社プロキオン・スタジオに所属する作曲家で、インストゥルメンタルの作曲を手がけている。また、歌魔法と呼ばれるボーカル入りに関しては折倉俊則氏やボカロPのトラボルタ氏など、各所で活躍する作曲家たちが参加していて、内田真礼氏や田村ゆかり氏などの実力派の声優たちが華麗に歌い上げている。オーソドックスなファンタジーものにぴったりな熱い楽曲が多い一方で、サウンドトラックが発売されていないのが悔やまれる。ただし曲名と作曲者の関係はデータベース上で概ね判明している。

本作の物語開始1000年前に人々を災厄から救ったとされるエルクレストは、主人公と同じ指揮者の能力を持つ伝説上の英雄である。その彼との一騎打ちなど、いくつかの印象的な戦闘で流れるのがこの曲である。イントロでの静謐な音使いの後、勢いあふれるコーラスが入り、後を追うようにバイオリンが加わることで、徐々に大一番の気運が高まっていく。エレキギターのシャープな音色も仲間入りして、1分手前で待ち受けるサビにやってきた頃には、バイオリンとコーラスが追いかけっこしながら主旋律を合奏し、伝説に名を連ねる者との決戦にふさわしい最高潮の盛り上がりに達する。歌うように滑らかな、さながら生命の躍動を感じさせる力強い一曲である。

この曲だと弦楽器を弾く、というより、弦楽器で歌う、というほうがしっくり来る気がします。インストの底力を見せつけてくれますね。