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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#281 『負けられない戦い』(足立美奈子・禎清宏・松岡耕平/サモンナイト クラフトソード物語/GBA)

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フライトプランがおくる武器創造RPGサモンナイトクラフトソード物語より、

足立美奈子・禎清宏・松岡耕平作曲、『負けられない戦い』。

トーナメント戦で流れます。

召喚術を主軸に据えたシミュレーションRPGサモンナイトのうち、外伝作として登場した本作。海に浮かぶ剣の都・ワイスタァンを舞台に、新米鍛冶師の主人公は、かつて父が優勝した鍛冶のトーナメントに挑み、鍛冶師の頂点である鍛聖を志すことになる。武器の創造に焦点を当てたアクションRPGで、レシピの秘伝と材料の鉱石を集めて強い武器を作成し、大会の優勝とその裏に潜む野望の真相解明を目指していく。道中・クリア後ともにやり込み要素が充実していて、スピンオフとして確固たる魅力を築き上げた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは足立美奈子氏、禎清宏氏、松岡耕平氏。いずれも禎氏率いるピュアサウンド所属の作曲家で、足立氏・松岡氏ともにすでに退社している。このうち足立氏はシリーズには初代から参加しているサモンナイトサウンドの立役者の一人で、松岡氏は作曲での参加は2以降、禎氏は本作がシリーズ初参戦である。ファンタジーテイストのオーソドックスな良曲が揃っていて、据置機を中心に展開するナンバリング作品にはない、携帯機音源特有の味わい深さがある。サウンドトラックは未発売だが、後のシリーズ作にサウンドテストが収録されている。

鍛聖を決めるトーナメント戦、御前試合にて流れるのがこの曲である。ハイノートから一気に駆け下るパワフルなイントロから始まり、続いてエネルギッシュに響く電子音の主旋律が、素朴なパーカッションを随えて勇ましく駆け抜けていく。耳を劈くような高音の旋律と、蛇行するように彷徨う低音の伴奏をうまく組み合わせることで、バランスの良さとインパクトの強さを両立している。30秒過ぎのサビではさらに高音を駆使して鮮やかに盛り上げ、今まで以上に情熱的な勢いをみせる。ループ前のラストフレーズとなる55秒~1分では、スタッカートを思わせる短めで歯切れの良い音色を並べ、ワンテンポ遅れて華やかな音階を添えることで、しっかり仕切り直して次へと繋げるような明白なメリハリをつける。曲名にふさわしい熱さみなぎる一曲である。

音数のすくなさは気合で吹っ飛ばせ!って感じですかね。この音源だからこそ表現できる熱さがあるのでしょう。