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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#287 『Under A Blue Sky』(秋田真典/ENTHUSIA PROFESSIONAL RACING/PS2)

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コナミがおくるリアルドライビングシミュレーター・エンスージアより、

秋田真典作曲、『Under A Blue Sky』。昼間のMARCO STRADAで流れます。

コナミ謹製のドライビングゲームとして登場した本作。プレイヤーは世界ランキング1位を目指すドライバーとして、各地のレースに出場することになる。リアルドライビングシミュレーターという名に恥じず、極限までリアルにつくり込まれた自動車の挙動が特徴で、登場車種はマイナーなものも含めて200種以上、コースはほとんど架空のもので、世界各地の都市を舞台としている。エンジン音に至るまで忠実に再現されたその徹底したこだわりは、純粋に車を走らせることの楽しさを全面的に追求した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは秋田真典氏、後田信二氏、土屋裕一氏。いずれも当時コナミに所属している作曲家である。また、オープニングとエンディングはHΛL梅崎俊春氏と清水武仁氏によるユニット)が担当しているほか、テレビ番組や劇伴などを幅広く手がけている村井修清氏が編曲に携わっている。グランツーリズモに観られるようなロック系およびフュージョン系、リッジに観られるようなハウス系およびテクノ系などとは一味違う(そうしたジャンルの楽曲もあるが)、独特な爽快感を持つ本作の楽曲群からは、いずれもドライブをするうえで速さのみならず美しさをも求めていく姿勢が窺える。サウンドトラックはアレンジなどのボーナストラックも含めて2枚組で収録されている。

昼間のMARCO STRADAで流れるのがこの曲である。いかにもイタリア風の名前を持つこのコースは、水の都・ヴェネツィアをモチーフにしていて、晴れた昼間と雨が降りしきる夜間の二つのコースオプションがある。夜間で流れる『Lyricism-rain』(同じく秋田氏の作曲)が漂わせる、どことなく翳のあるグルーヴィーな雰囲気とは異なり、澄み切った青空のもと繰り広げられるレースを彩るこの曲は、シンセやストリングス、ピアノを駆使して、一点の曇りすら感じさせない爽快感抜群な音色を奏でる。はじめの45秒ほどで伸び伸びとにストリングスが響き渡った後、46秒~1分あたりでは電子的なビートを強調してスタイリッシュに焦らす。1分過ぎから再度ストリングスが参戦すると、今度は似たフレーズを反復して緊張感を煽り、レースゲームらしい手に汗握る白熱した印象を与える。1分半過ぎではストリングスが伴奏に移る代わりに、クリーンなピアノが主旋律を担うようになり、ますます清涼感に磨きがかかる。とりわけ2分14~27秒の熾烈な演奏とそれに続くテクノ風のリズムパターンは圧巻の出来栄えで、気持ち良く昂揚感を刺激してくれる。清澄で開放的あふれる一曲である。

同じコースでも昼と夜とで音楽が違うとまったくの別物に感じられますね。『Lyricism-rain』、あわせてどうぞ。

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