VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#295 『Far Journey』(工藤吉三/雷電V/XOne)

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MOSSがおくる縦スクロールシューティング・雷電より、

工藤吉三作曲、5の『Far Journey』。7面道中で流れます。

1990年から連綿と続くアーケード用正統派STG雷電シリーズ。本作はシリーズ初の家庭用作品として登場し、今まで描写がすくなく淡泊だったシナリオに力を入れたり、ステージ構成をがらっと変えて作風を一新したりするなど、多くの革新的な要素が詰め込まれている。システムまわりも、体力制やリトライ機能を導入することで従来とはまったく異なる駆け引きをつくり出すことに成功し、一周するのにゆうに一時間はかかる大ボリュームとなっている。ネットワークに連動して他のプレイヤーを応援することができるチアーシステムも特徴的で、シリーズならではの堅実さと、家庭用機進出を果たしたことによる意欲的なゲーム性がうまく融合している。

本作の音楽を担当するのはベイシスケイプの工藤吉三氏。外伝にあたるライデンファイターズも含めてほぼすべての作品に長らく携わってきた佐藤豪氏にかわり、本作では工藤氏が全曲を単独で作曲している。氏の持ち味であるオーケストラとロックを効果的に組み合わせたシンフォニックサウンドが全編を通して採用されていて、本作においてはステージの尺にあわせて曲がつくられているため、原則としていずれの楽曲もループしない仕様となっている。なかには十分近い大作もあり、雷電サウンドの新しい可能性を切り拓く珠玉の名曲揃いとなっている。

ぜんぶで八つあるステージのうち、最後から二番目の道のりで流れるのがこの曲である。このステージでは、まず第1シーンで緑が生い茂る森を抜け、急峻な斜面を高速で駆け登る。第2シーンでは高度を上げつつ遥か天空にまで伸びる軌条に沿って宇宙へと向かう。第3シーンでは青い惑星を背景に、何らかの破壊活動のために辺り一面に散らばった残骸を尻目に進んでいく。こうした言語に絶するドラスティックな旅路を彩るこの曲は、イントロからすでに最高潮の盛り上がりを見せ、ピアノもストリングスもエレキギターも一緒くたになって奏でられるアップテンポな曲調がしばらく続く。3分50秒あたりでエレキギターが異常をきたすと、4分以降はストリングスが身震いをしているかのように感じられる、切迫した空気感が漂い始める。4分40秒手前になるとようやく本調子に戻り、押し寄せる轟音の波が、至高のグルーヴを生み出す。こうして地上最後の瞬間を心ゆくまで堪能した暁には、第3シーン突入と同時に不意に5分55秒あたりから静寂が訪れる。宇宙空間の神秘を丸ごと写し取ったような、アンビエントに近しい感情を押し殺した音使いは、それまでの印象をすべて覆して、差し迫る最終局面への不安を大胆に煽る。曲のなかにストーリー性が内在されたつくりは、ラストステージでも引き続き壮大なドラマを展開してくれる。

すこし熱を入れすぎましたね。それだけ魅力的な曲なのです。