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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#304 『運命を断ち切れ!』(並木学/救急救命 カドゥケウス2/NDS)

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アトラスがおくるドラマチック手術アクション・カドゥケウスより、

並木学作曲、2の『運命を断ち切れ!』。アレティア除去手術の際に流れます。

SF外科手術アクション・カドゥケウスのナンバリング2作目にあたる本作。前作で死に至る奇病・ギルスから人々を救った外科医・月森は、深刻な後遺症で苦しむ患者がいると知り、再び超執刀で立ち向かうことになる。しばらくシリーズ展開はWiiにハードを移していたが、正統なナンバリングとしてDSに戻ったことで、タッチスクリーン操作の直感的な手術アクションが復活、Z以降導入されていた難易度選択も搭載されている。手術のバリエーションも増加し、DSらしさを活かして順調に進化した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは上倉紀行氏と並木学氏。ともに当時ベイシスケイプに所属していた作曲家である。カドゥケウスシリーズはWiiで発売された作品も含め、主に目黒将司氏や土屋憲一氏といったアトラスのサウンドスタッフが手がけていることが多いが、本作のみ毛色の違う人選となっている。ストリーム再生の導入により前作と比べて音源が飛躍的に向上し、本作では命を救う現場にふさわしい緊張感たっぷりの楽曲が揃っている。サウンドトラックは通常のCDとデジタル配信の両方で発売されている。

曲者揃いのギルスのなかでも一際厄介な本作のラスボス・アレティアを除去する際に流れるのがこの曲である。一つのミスが文字通り命取りとなるシビアな雰囲気をまるごと表現した、凄まじい緊張感に満ちた一曲で、威圧感あふれるオーケストラに焦燥感を煽るピアノ、切迫感みなぎるコーラスの組み合わせが、鋭敏な思考力と集中力を高めさせてくれる。幾重にも重なって響くその重厚な音使いは、失敗が許されない状況を見事に反映している。ギルスという悪魔によって蝕まれてきた人類の運命を断ち切る覚悟と決意が、その流麗で屈強な旋律から窺える。

そういえば初代カドゥケウスは2018年が舞台なので、近未来の設定のはずが時代が追い付いてしまいましたね。