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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#320 『ゆらぎの街のアリス』(古代祐三/NAMCO x CAPCOM/PS2)

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ナムコカプコンがおくるシミュレーションRPGナムカプより、

古代祐三作曲、『ゆらぎの街のアリス』。

主人公・有栖零児とその相棒兼ヒロイン・小牟のテーマ曲で、戦闘曲の一つ。

カプコンの許諾を受け、モノリスソフトが開発し、ナムコが発売した本作。交わるはずのないこの世界と異世界を繋ぐ、ゆらぎと呼ばれる空間の歪みの発生により完全封鎖された渋谷で、超常現象に対処する政府直属の特務機関・森羅のエージェントたちが奮闘することになる。両社から総勢200以上の個性豊かなキャラクターが登場するオールスター作品として、いたるところにネタを散りばめながら新旧の人気キャラが夢の共演を果たしている点が特徴である。お祭りゲーの醍醐味である曲者揃いのキャラクター同士の掛け合いはもちろん、本作オリジナルキャラもうまく作風に溶け込んでいて、クロスオーバー作品のツボをしっかり押さえた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは古代祐三氏。1980年代からゲーム音楽業界に携わっているベテラン作曲家で、株式会社エインシャントの代表である。本作はクロスオーバーという性質上、様々なゲームから様々な名曲が流用されているが、そのなかでも氏の手によって本作用にオリジナルの楽曲群が書き下ろされている。とりわけ氏にとって初の歌モノとなった本作のOPは、アニメーションの出来の良さと相まって根強い人気を誇る。サウンドトラックはオリジナル曲もナムコ曲もカプコン曲もまとめて収録されていて、ボーナストラックも完備されている。

本作のオリジナルキャラである有栖零児小牟のテーマ曲として、主に戦闘場面で流れるのがこの曲である。零児は数少ない常識人としてまとめ役を一手に引き受ける主人公、小牟はその相棒で師匠でマニアックなパロディを連呼する剽軽なヒロインである。高密度なパーカッションにハードなエレキギターの音色が轟き渡るクールなロックナンバーで、34秒あたりから冷静沈着な雰囲気を漂わせるピアノが加わると、激しさのなかに静けさが綺麗に溶け込む。1分過ぎでピアノが一旦途絶えてもなお、旋律の美しさと伴奏の力強さが共存し、さらに1分20秒頃に再度ピアノが響くことで、いっそうメロディーが耳に馴染むような印象を与える。ヒロイックな疾走感に満ちた爽快な一曲である。

二人が登場するムゲフロEXCEEDでは花岡拓也氏によるアレンジ『ゆらぎの街のアリス (Ver. EF EXCEED)』があり、さらにPXZ2でも新規アレンジが用意されています。特に後者は美しさと力強さの両方が強化されていて、聴き応え抜群です。ムゲフロ版、PXZ版、あわせてどうぞ。

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