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#328 『絶対魔獣戦線:メソポタミア』(芳賀敬太/Fate/Grand Order/iOS・And)

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TYPE-MOONがおくる英霊召喚RPGFGOより、

芳賀敬太作曲、『絶対魔獣戦線:メソポタミア』。七章後半のマップで流れます。

TYPE-MOONの代表作であるFateシリーズのスマホ向けRPGとして登場した本作。滅亡の危機に瀕した世界で、英霊を召喚し契約する力を持つマスターとなったプレイヤーは、過去に生きた英霊たちとともに聖杯探索へ赴くことになる。ジャンルとしてはコマンドカードバトルに該当し、サーヴァントを編成してチームを組み、タクティカルフェイズとコマンドフェイズでそれぞれスキルや行動を選択して敵と戦っていく。本筋はもちろん、キャラに焦点を当てたストーリーも多数収録され、凄まじい物量と読み応えを誇るシナリオが特徴である。Fateの世界観をスマホにたっぷり落とし込んだ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはTYPE-MOON所属の芳賀敬太氏やJames Harris氏を中心とする複数の作曲家たち。コラボの際には梶浦由記氏や深澤秀行氏といったアーティストも参加している。本作の濃密で退廃的な世界観にふさわしいダークファンタジー調のサウンドが多く取り揃えられている。大型のアップデートでは新規の楽曲が書き下ろされるのが恒例になっていて、2015年のサービス開始以来、現時点で3枚組のサウンドトラックが6つ発売されていることからも曲数の豊富さが窺える。

第1部のクライマックスにあたる第七特異点・絶対魔獣戦線バビロニアの後半にて流れるのがこの曲である。前半で流れる『絶対魔獣戦線:バビロニア』の開放感あふれるヒロイックな雰囲気から一転、この曲は首尾一貫して緊迫した悲愴感を漂わせている。コーラスとストリングスの重厚なイントロから始まり、ピアノによる粛々とした伴奏が、刻一刻と悪化する事態の深刻さ、もはやどうすることもできない絶望感を、如実に表現している。滲み出る諦観と、それでも頑として戦い抜かねばならぬ悲哀が、見事に混ざり合った一曲である。

この曲のアレンジに『生命院サブナック』があり、そちらはますます緊張を煽るような仕上がりとなっています。『絶対魔獣戦線:バビロニア』、『生命院サブナック』、あわせてどうぞ。

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