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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#330 『振り向かないと決めた日』(岸利至・水谷広実/スーパーロボット大戦X/PS4・PSV)

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B.B.スタジオがおくるクロスオーバーシミュレーションRPGスパロボより、

岸利至水谷広実作曲、Xの『振り向かないと決めた日』。

アマリの必殺技使用時のテーマとして流れます。

古今東西のロボット作品のキャラクターたちが一堂に会するスパロボシリーズのうち、前作のVと同じくPS4とVita向けに発売された本作。地球ではない異世界アル・ワースを舞台に、魔従教団の一員だった主人公は、教団から奔走して様々な時空からやってきた者たちと交流するうちに、やがてアル・ワースの存亡の危機に立ち向かうことになる。シリーズ初参戦の魔神英雄伝ワタルに焦点を当てた物語が特徴で、他の作品群との充実したクロスオーバーを楽しめる。本作オリジナルの主人公(男性ならイオリ、女性ならアマリ)の機体には、Magicカスタマイズという専用のシステムによって、戦闘等に役立つ様々な特殊効果を自分好みに付与することができる。異世界という異色の設定ながらそこそこ無難にまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは岸利至氏と水谷広実氏。編曲には本作のサウンドディレクターでもある有馬孝哲氏やタイトロープも参加している。このうち岸氏は主にJ-POPへの楽曲提供で活躍するミュージシャンで、スパロボシリーズには第2次OGDP以来の参加である。また、水谷氏は映画やアニメの劇伴を担当することの多い作曲家で、前作Vから引き続き作曲に携わっている。本作オリジナルの楽曲に関しては、とりわけ主人公のテーマを中心にドラマチックな熱さを持つものが揃っている。サウンドトラックは未発売だが、作中のサウンドセレクトで自由に再生できる。

各2曲用意されている主人公のテーマのうち、女主人公アマリ・アクアマリンが必殺技を使用した際に流れるのがこの曲である。通常時の機体BGM『旅立ちの季節』と同じく優雅なシンフォニックサウンドエレキギターを組み合わせたものだが、どこか可愛らしさが残るそちらとは違い、この曲はストレートに情熱的な、まさしく主人公機にふさわしい格好良さを誇る。イントロからシリアスな空気感漂う曲調で始まり、続いて13秒頃からキャッチーなメロディーが入ると、非常に勇ましく開放的な印象を与える。ストリングスとギターが交互に、ときには共に主旋律を奏で合うことで、気品と気迫の双方を兼ね備えた音色を紡ぐ。とりわけ1分28秒からのサビでは、ストリングス→ギター→ストリングス→ストリングス&ギターという流れで主旋律が推移することで抜群の聴き心地の良さを生む。どんな逆境にも屈せず、気弱で臆病だった過去の自分を乗り越えた彼女にぴったりな力強さを滲ませたヒロイックな一曲である。

『旅立ちの季節』もあわせてどうぞ。

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