VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を適当に紹介します。

#339 『tears which died』(細江慎治/アンダーディフィート/AC)

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グレフがおくるミリタリー縦スクロールシューティング・アンデフより、

細江慎治作曲、『tears which died』。ステージ5の曲。

2005年にアーケード版が稼働して以来、翌年にはドリキャスに、2012年にはHD版としてPS3Xbox360向けに移植された本作。停戦の日を間近に控えた帝国軍と連邦軍による不毛な争いが繰り広げられる。2D縦シューのノウハウを活かしつつ地形要素などを取り入れたハーフトップビュー型のフル3Dの世界観が特徴で、とりわけ爆風や煙といったリアル志向の画面表現は、恐ろしいほど緻密に細部までつくり込まれている。ステージはぜんぶで五つあり、歯応えのある良好なゲームバランスと戦争の凄惨さをストレートに描いた硬派で陰鬱なストーリーは、いずれも高く評価されている。

本作の音楽を担当するのはスーパースィープの細江慎治氏。アーケードゲームを中心に数多くの作品を手がけてきたベテランの作曲家で、得意ジャンルはテクノである。本作はドリキャスに移植される際に、原曲の尺を伸ばしたロングバージョンの新規アレンジが収録された。また、HD版におけるニューオーダーモードの追加曲には、同じくスーパースィープの安井洋介氏も作曲に携わっている。本作の楽曲はいずれも、ミリタリーテイストの重厚な作風にふさわしい、ハードでダークな、そうでありながらも爽快感あふれるテクノサウンドとなっている。

静謐なピアノイントロの間のみ、一切の効果音が消え失せた特殊な状況下でゆっくりと始動するこの曲は、本作の最終面であるSTAGE5ことGRAVEYARDで流れる曲である。数え切れぬほど多くの死者を出してようやく迎えた停戦日当日、帝国軍は連邦軍の思わぬ襲撃を受けることになるが、この曲はそうした最悪のシチュエーションのなかで奏でられるものである。エレキギター、シンセ、ピアノを融合させた爽やかで哀愁漂うメロディーラインは、破壊と殺戮がもたらす一時的な陶酔感と、その裏に潜む壮絶な罪悪感を想起させ、それでも前に進むしかない悲痛な覚悟を感じさせる。ロングバージョンでは後半部分に新たにギターが暴虐の限りを尽くして吠え猛るパートが追加され、いやます戦場の過酷さを表現している。

曲名の意味は「死に絶えた涙」、涙さえもが歿した戦場のことを指していると思うと、素晴らしいセンスですね。ドリキャス版のロングバージョンもあわせてどうぞ。

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