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#347 『下水道』(伊藤賢治/ロマンシング サ・ガ/SFC)

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スクウェアがおくるフリーシナリオ型RPGロマンシングサガより、

伊藤賢治作曲、『下水道』。エスタミル地下水道などで流れます。

それまでゲームボーイで展開されていたサガシリーズのうち、4作目にしてスーファミへの初参戦を果たした本作。遠い昔に神々と人間に挑み、10種の宝石・デステニィストーンに封印されたはずの邪神が、長い年月を経て復活の兆候を強めるなか、境遇の異なる8人の主人公がデステニィストーンをめぐる運命に翻弄されることになる。複数の主人公が織り成す悲喜交々の群像劇は、当時としてはエポックメイキングなフリーシナリオ制の導入により、非常に自由度が高い斬新な冒険が楽しめる。印象的な台詞回しやシリーズ恒例のバグの多さは後年でも語り草になるほどで、後にシステムまわりをリファインしてPS2向けにリメイク(ほぼ新作並みの大幅な改変)を施したミンストレルソングが登場した。

本作の音楽を担当するのは伊藤賢治氏。当時スクウェアに所属していた作曲家で、サガシリーズには2の秘宝伝説以来の参加である。本作含め、以降のシリーズでは氏が軒並み単独で作曲している。ハードが携帯機から据置機に移行したことにより、もともと音源的な制約が厳しいなかでも良曲揃いだったサガシリーズサウンドはさらなる進化を遂げ、本作の楽曲は未だに根強い人気を誇るものも多い。また、ミンサガではもはや原形をとどめないレベルで大胆にアレンジされている。サウンドトラックはオリジナル盤、リマスター盤、リバイバル盤、アレンジ盤など、数種類存在する。

エスタミル地下水道をはじめとするダンジョンで流れるのがこの曲である。とりわけ本作屈指の人気曲として名高く、無粋な曲名とは裏腹に、勇ましく、どこか哀愁を漂わせるクールなメロディーラインが特徴的である。主旋律の裏でそっと寄り添うベースラインに、絶えず響き渡るハイピッチな伴奏、リズムを刻むパーカッションと相まって、冒険心をとことんまでくすぐってくれる。躍動感と悲壮感が綯い交ぜになったような秀逸な一曲である。なお、ミンサガでは伊藤氏のセルフアレンジにより、ますます下水道のイメージから遠のくようなエレクトリカルなトランス系の曲調となっている。

戦闘曲ではないのにバトルアレンジアルバム(「閃」)に収録されているのはさすがです。閃のアレンジはディスコとかファンクっぽい雰囲気です。二つともあわせてどうぞ。

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