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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#348 『Ale che non cadono -堕ちない翼-』(内藤那津子/ピンクスゥイーツ ~鋳薔薇それから~/AC)

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ケイブがおくるスチームパンク縦スクロール型シューティング・鋳薔薇より、

内藤那津子作曲、ピンクスゥイーツの『Ale che non cadono -堕ちない翼-』。

6面で流れます。

19世紀のヨーロッパを舞台にした、重厚でエレガントなスチームパンク風の世界観が特徴の鋳薔薇のその続編として登場した本作。前作では敵側だったローズ姉妹を主人公に、前作の一連の事件の首謀者として逮捕された母親のテレサ・ローズを救うべく、五人の姉妹が奮闘することになる。前作から一転、お色気要素を全面に押し出した意欲作だが、それでいて例に漏れずかなりの高難度を誇り、プレイヤーの行動次第でぐんぐんランクが上がって難易度が跳ね上がる全7面構成の容赦ないゲーム性が特徴である。自機で攻撃せずにいると自動シールドが発生し、シールドゲージが溜まると敵弾を一気に消せるローズクラッカーというシステムがあるが、使用するたびに加速度的にランクが上昇する諸刃の剣のような仕組みを取っている。ポップでコミカルな作風とは裏腹にシビアなプレイングを要求される仕上がりとなっている。後に同じイロモノ路線のむちむちポークとともにXbox360に移植された。

本作の音楽を担当するのはケイブ所属の内藤那津子氏や松本大輔氏など、総勢七名の作曲家たち。うち五名は後のむちポで作曲を務めるなど、両方セットで移植されるだけのことはある。本作の楽曲は癖だらけのゲーム性とは異なり、いずれもシューティングというジャンルにぴったりな、直球のテクノサウンドが揃っている。内藤氏が作詞作曲・ボーカルまで担当するイメージソングに関してはものすごく珍妙だが、その奇抜さがかえって人気を得ることになった。サウンドトラックは2枚組で、1枚目はオリジナル音源、2枚目は古代祐三氏や細江慎治氏などの精鋭によってアレンジされた音源を収録している。

6面「CLOUDS 雲の向こうへ続く」で流れるのがこの曲である。厚い雲が垂れ込めるステージを、シンセ主体の鮮やかな曲調で爽快感たっぷりに彩る。勢いよく駆け抜ける旋律は、颯爽とした清涼感だけでなく、ほんのり哀愁も漂わせている。特に30秒からの丸みを帯びた電気ピアノのフレーズや、46秒からのサビなどが、切なくも爽やかな印象を与える。ここまで来たならこのまま突き進むしかない、という思いを後押ししてくれるような一曲である。

ちなみに6面はフリーズバグがあるので知られてますね。曲名の前半部はイタリア語で、そのまま「堕ちない翼」を意味します。