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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#351 『Arrivée Distante』(Nurykabe/Knytt Stories/PC)

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Nifflasが手がけるインディー2Dアクション・Knytt Storiesより、

Nurykabe作曲、『Arrivée Distante』。The Machineにおける緑地帯ステージの曲。

スウェーデンのフリーのゲームクリエイター・NifflasことNicklas Nygren氏の代表作であるKnyttの続編にあたる本作。Knyttという題名は、世界的に有名な児童書のムーミンシリーズのうち、「さびしがりやのクニット(原題Vem ska trösta knyttet?)」に出てくる登場人物の名前を借りていて、そのためか本作では絵本のような幻想的なグラフィックが特徴である。本作は、はじめこそできることが限られているが、ステージに散らばる強化アイテムを集めると、ハイジャンプや壁登りなどの便利な能力を手に入れることができ、それに応じて探索範囲が広がっていくという、シンプルながらも攻略し甲斐のある仕上がりとなっている。デフォルトで搭載されているマップ以外にも、いくつか追加マップが配信されていて、エディターを使えば自作マップをつくったり、他の人のつくったマップを散策できたりするなど、隅々まで遊び尽くせる。

本作の音楽を担当するのは開発者本人であるNifflas氏の他、Kevin "Gopher" Chow氏、D Fast氏、Nurykabe氏といったメンバーである。このうちNurykabe氏は本名Yann van der Cruyssenと言い、Moresqueという名義でも知られるフランス出身の作曲家である。得意ジャンルはチップチューンで、本作においては作風に合わせてアンビエントエレクトロニカなどの楽曲も提供している。全編を通して奏でられる、のどかで柔らかなサウンドは、いずれも本作の雰囲気をとてもよく体現していて、非常に聴き心地が良い。

初期状態でプレイできるThe Machineと呼ばれるマップのうち、緑に覆われた素朴な土地で流れるのがこの曲である。かつて美しかった惑星は、謎の機械により灰色の荒地に変えられてしまい、その機械を止めることこそが本作の目的であるが、この曲は、そうした荒涼たる大地のなかで異質なほど豊かな自然に恵まれた緑地帯で流れるものである。あえてジャンルに当てはめるなら、エレクトロニカのなかでもとりわけ可愛らしい、トイポップ的な音色が魅力のトイトロニカに区分されるであろうこの曲は、本作の優しげな世界観にぴったりな温もりにあふれていて、聴く者をたちまち夢見心地にしてくれる。荒廃した惑星とそこに芽吹くわずかばかりの草木、その対比を静かに熾烈に描き出している。

昨日に引き続き今日もニカっぽいものの紹介になってしまいました。ちなみに曲名はフランス語で、英語に直すとDistant arrivalといった具合になるのですが、良い和訳が思いつきません。