堀山俊彦作曲・岩垂徳行編曲、6の『王泥喜法介 ～新章開廷! 2016』。
王泥喜法介のテーマとして流れます。
複雑に入り組んだ難事件から、依頼人である被告の無罪を勝ち取る逆転裁判シリーズのうち、ナンバリング6作目にあたる本作。弁護士不在の奇妙な裁判がおこなわれる架空の霊媒大国・クライン王国と、おなじみの日本を舞台に、成歩堂龍一、王泥喜法介、希月心音の弁護士三人が裁判に挑むことになる。これまで以上に霊媒能力（霊を呼び出し姿かたちさえもが生前の通りに変化する本シリーズ独自のギミック）に焦点を当てたダイナミックなシナリオ展開が特徴で、3までのヒロインである綾里真宵が久々の再登場を果たしている。超常的な能力をメインに扱っていることから、従来よりもさらに現実離れしたファンタジックな色合いが強まったが、その分、盛り上がりの度合いも増している。シリーズ15周年の集大成に見合った大きなカタルシスを感じさせる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩垂徳行氏、尾野寺真未氏、堀山俊彦氏の三名。このうち尾野寺氏と堀山氏はカプコン所属の作曲家である。岩垂氏は3以降、4を除き逆転検事を含めてシリーズに携わっていて、堀山氏は4以来のカムバック、尾野寺氏はシリーズ初参戦である。異国の法廷の登場により、本作ではいつもの曲調に加え、エスニックなサウンドも取り入れられている。過去作からのアレンジ曲に関しては、通例通り曲名に発売年（本作の場合は2016）が付されている。サウンドトラックは短いジングルも含めて収録されている。
4の主人公であり、5でも6でも主役を務める王泥喜法介のテーマ曲として、法廷パートの逆転シーンで流れるのがこの曲である。本作ではとりわけ彼の過去が大きく取り上げられていて、4の原曲、5のアレンジ（『王泥喜法介 ～新章開廷! 2013』）を経て、この再アレンジが彼の健闘ぶりを華麗に表現してくれる。原曲の緊張感あふれるスタイリッシュな曲調、5の王道なオーケストラアレンジときて、今回もスタイリッシュなオーケストラ路線を受け継ぎつつ、パーカッションパートの重みや厚みを強調している。36秒や1分7秒あたりでそれぞれジャズの即興演奏のようなフレーズを加えることで、グルーヴィな雰囲気に磨きをかけていて、どんな逆境でも決して屈することなく、どれほど残酷な真実であっても決して目を背けない彼にふさわしい一曲に仕上がっている。
オドロキくんの成長をよくぞここまで描き切った、という感じですね。4の原曲（作曲は堀山さん）、5のアレンジ（6同様、岩垂さんの編曲）、あわせてどうぞ。
