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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#377 『失われた時は何処に』(桃井聖司/ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙/SFC)

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データイーストが手がけるギリシャ神話を下敷きにしたRPGヘラクレスの栄光より、

桃井聖司作曲、3の『失われた時は何処に』。フィールド曲。

ギリシャ神話をベースにしたヘラクレスの栄光シリーズの第3作目にあたる本作。不死身で記憶喪失の主人公が、同じ境遇の仲間たちと出会い冒険を繰り広げるうち、神々の思惑と己の正体を知ることとなる。本作はとりわけ緻密に練られたシナリオの評価が非常に高いことで知られていて、システム面は遊びやすいとは言い難いが、それを補って余りあるほどの根強い人気を未だに誇る名作として語り継がれている。

本作の音楽を担当するのは(効果音の担当者も含めて)ATOMIC H.こと濱田誠一氏、S. MOMOIこと桃井聖司氏、NGDA M.こと三浦タカフミ氏、SHOGOこと酒井省吾氏、Z. YAMANAKAこと山仲清二氏の五名。データイーストお抱えのサウンドチーム・ゲーマデリックのメンバーが中心となっている。このうち作曲を担当しているのは濱田氏、桃井氏、酒井氏である。本作の楽曲はいずれも王道なRPGにふさわしい勇壮なものが多く、スーファミ初期の素朴な音源ながらも物語を色鮮やかに彩ってくれる。サウンドトラックは本作単体では発売されていないが、シリーズ5タイトルを収録したCD6枚組のサウンドクロニクルがSweepRecordにて販売されている。

地上では魔物が蔓延り、危機的な状況に陥っているにもかかわらず、天井の神々が沈黙を守り続けているという、どことなく異常な退廃感に満ちた世界観のもと、本作のフィールドにて流れるのがこの曲である。深い悲しみを帯びた旋律に、伴奏としてチェロかコントラバスを思わせるストリングスの重低音がずっしりと響き渡ることで、悲劇的なムードを目一杯漂わせている。サビでは高音を利かせたメランコリックな音使いが、ぽろぽろと零れるように奏でられるハープの音階と相まって憂愁を喚起し、曲尺が短いからこそかえって情緒に富んだ仕上がりとなっている。続編の魂の証明では同じくフィールド曲としてこの曲のアレンジ版が用いられていて、音質の向上に伴ってより透明感が増している。

悲しみがこみあげてくるような感じがして、とても素敵ですね。菅野優一さんと弘田佳孝さんによる魂の証明のアレンジは、原曲の雰囲気をうまく捉えた良アレンジですので、あわせてどうぞ。

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