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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#400 『0²(ゼロ・ツー)』(石川淳/星のカービィ64/N64)

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HAL研究所がおくる冒険アクション・星のカービィより、

石川淳作曲、『0²(ゼロ・ツー)』(『VS.ゼロ・ツー』とも)。

ゼロ・ツー戦で流れます。

敵を吸って吐いたりコピーしたりしてステージを攻略していく星のカービィシリーズのうち、通算6作目としてニンテンドウ64向けに登場した本作。今度のカービィは、惑星・リップルスターが黒い雲により襲撃され、惑星の宝物であるクリスタルがばらばらに散ってしまったことを受け、妖精のリボンとともにクリスタル探しの旅に出ることになる。本作から3Dグラフィックに切り替わり、従来通り横スクロールながらも奥行きのあるステージギミックが楽しめるようになったほか、異なる二つのコピー能力を組み合わせることで新しい能力を生み出すコピー能力ミックスが初めて導入された。後のシリーズにも連綿と受け継がれる要素が備わった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは安藤浩和氏と石川淳氏。おなじみHAL研所属の作曲家たちで、石川氏は初代から、安藤氏は夢の泉からシリーズサウンドに携わっている。本作では冒険の舞台として、カービィの出身地であるポップスターやリボンが暮らすリップルスターなど、いくつもの惑星を渡り歩くことになるため、その星々の環境や特色に見合ったバラエティ豊かな楽曲が用意されている。サウンドトラックは発売されているが、未収録の曲もすくなくないうえに、一部の曲名は表記が統一されていない。

ゼロツー戦で流れるのがこの曲である。クリスタルをすべて集めた状態で挑むことになる真のラスボスにしてリップルスターを侵略した黒幕で、真っ白な球体に不気味な翼を生やした一つ目の怪物である。そうした得体のしれない恐怖を増長するかのごとく、この曲は最初の一音から最後の一音まで、終始シリアスな雰囲気を漂わせたダークアンビエント調に仕上がっている。ほんわかした作風とは一切無縁な、文字通り退くに退けない状況を、焦燥に満ちた音色でおぞましいほど刺激的に彩る。絶望と畏怖の感覚を限界まで煽ってくれる一曲である。

隠しボス戦の曲としてはなかなか比類を見ない出来栄えだと思っています。アレンジに関しては、スマブラXにて葉山宏治さんが編曲したものや、スタアラでミラクルマター戦とのメドレーのような形で安藤さんが編曲したものがあります。前者『ゼロツー戦』は呼吸をするような何気なさで謎のシャウトを大量に取り入れていて、後者『おとめたちのやみとのたたかい』は異なる二つの良曲を組み合わせて生み出された名曲ミックスです。あわせてどうぞ。

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