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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#401 『敬虔な恐れ』(目黒将司/真・女神転生 STRANGE JOURNEY/NDS)

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アトラスがおくる3DダンジョンRPG真・女神転生より、

目黒将司作曲、SJの『敬虔な恐れ』。通常戦闘で流れます。

悪魔を勧誘して味方にする仲魔システムや悪魔合体といった独特なゲーム性で知られる女神転生シリーズのうち、真・女神転生のナンバリングでも外伝でもない特殊な立ち位置にある本作。シリーズから完全に独立した世界観のもと、本作では南極に忽然と姿を現した亜空間シュバルツバースを舞台に、人類の科学技術を結集して組織された調査隊が、地球の命運を賭けた戦いに身を投じることとなる。生きるか死ぬかの瀬戸際という状況を見事に表現した歯応えのある難易度や、マルチエンディング制によるスリリングなシナリオが特徴で、後にシステム面を強化し、新キャラや新エンディングを追加した3DS版のDEEP STRANGE JOURNEYも登場した。

本作の音楽を担当するのは目黒将司氏。DSJでは追加曲の一部を小西利樹氏が手がけている。目黒氏は当時、小西氏は現在もアトラスに所属する作曲家である。目黒氏は3から、小西氏は4からメガテンシリーズに携わっている。本作では従来のシリーズにみられたようなハードロックサウンドと異なり、男性コーラスを多用したクラシック調のものが大半を占めていて、高純度のSFとオカルトが融合した世界観にふさわしい壮大な楽曲が揃っている。サウンドトラックはSJの楽曲を収録したものが存在するほか、DSJの初回限定盤にシリーズの楽曲や本作のアレンジ曲などが収録したものが付属された。

通常戦闘で流れるのがこの曲である。イントロから重厚感たっぷりのストリングスが印象的で、24秒あたりから低く陰鬱な男性コーラスが響き渡る。そこにシンバルやトランペットなども加わると、その高圧的な音色が苛烈なほど緊張感を煽る。溜めに溜めた後、48秒から非常に伸び伸びとしたサビが奏でることで、束の間だけでも一切の鬱憤を晴らすような解放感が漂う。が、依然として曲全体を貫く悲愴感は健在で、華やかながらも暗澹とした雰囲気に満ちあふれている。曲名通りの力強い畏怖を感じさせる一曲である。

初回限定盤のCDには伊藤賢治さんのアレンジがあって、そちらは男性コーラスなし、エレキギターやピアノをフィーチャーした仕上がりとなっています。陰鬱さは抑えめ、イトケン流のスタイリッシュ路線です。あわせてどうぞ。

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