スティングがおくるシミュレーションRPG・ユグドラユニオンより、
林茂樹作曲、『WE'LL NEVER FIGHT ALONE』。オープニングデモで流れます。
同じくスティングによるファンタジーRPG・Rivieraと世界観を共有するDept. Heaven Episodesシリーズの第2弾として登場した本作。GBA時代の最終期にあたる2006年に発売され、2年後にバランス調整を施してPSPに移植された。キュートなグラフィックとは裏腹に、亡国の王女が祖国を滅ぼした敵と戦うという内容の、戦争をテーマとしたシビアなシナリオや、癖の強いゲーム性、歯応えのある難易度が特徴である。戦況を大きく左右するタクティクスカードや、HPのような役割を果たす士気など、本作独自の要素が数多く搭載されていて、戦略性に富んだ仕上がりとなっている。後にアプリやスイッチ、Steamにも移植された。
本作の音楽を担当するのは足立美奈子氏と林茂樹氏。おなじみ前作のリヴィエラでもサウンドを手がけていた、いずれも当時スティングに所属していた作曲家である。D.H.Eシリーズには両名のうちすくなくとも一方が参加しているが、本作では両名揃って作曲している。GBA版とPSP版で音源が異なり、PSP版はGBA音源のリマスターにあたる。曲数が非常に充実していることで知られ、キャラごとに固有の戦闘曲が用意されていたり、遊撃戦や防衛戦といった様々なシチュエーションに応じてバラエティ豊かな楽曲が揃っていたりするなど、至れり尽くせりである。サウンドトラックはGBA音源を完全収録したうえでイメージBGMやアレンジなどのボーナストラックも含めたPerfect Audio Collection Plusのほか、PSP音源のものも発売されている。
タイトル画面で待機していると流れ出すオープニングデモを彩るのがこの曲である。このオープニングデモは、PSP版ではアニメムービーに差し替えられているが、GBA版ではキャラクターごとの性能が紹介されるという実用的なものとなっている。キャラクターが入れ替わるたびに武器の効果音が鳴るという粋な演出を取っていて、剣や槍の鋭い金属音に負けぬシャープなエレキギターの音色が、GBAのハード性能を凌駕するような力強さを感じさせる。全体を通して非常に苛烈な疾走感に満ちているが、14～15秒、53～54秒など要所要所であえて勢いを抑制することで、メリハリをつけて昂揚感を刺激してくれる。特に1分過ぎで終盤のフレーズに入る直前にテンポをぐっと落とし、幻想的なコーラスやハープを目立たせることによって、続くメロディーラインをこれまで以上に熱く激しく盛り上げる。戦争に身を投じる覚悟を強く滲ませた一曲である。
曲名のWE'LL NEVER FIGHT ALONEというのは、パッケージに記載されている本作の副題でもありますね。PSP版では正当に進化して、迫力たっぷりのシンフォニックロックに仕上がっています。あわせてどうぞ。
