VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#480 『NATURAL COURSE (TECHNICAL NAVIGATION)』(TAMAYO/ヴァーテクサー/AC)

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タイトーがおくるIDYA専用体感レースゲーム・ヴァーテクサーより、

TAMAYOこと河本圭代作曲、『NATURAL COURSE (TECHNICAL NAVIGATION)』。

『NATURAL COURSE "TECHNICAL NAVIGATION"』とも表記され、

その名の通り、NATURALコースで流れます。

ポッドのような形をした大型筐体IDYAの専用タイトルとして、1993年に稼働開始した本作。近未来を舞台としたレースゲームで、IDYAの振動により臨場感たっぷりのドライブを体感できる仕上がりとなっている。コースはPLANET、TECHNOLOGY、NATURALの三種類が用意されていて、きめ細やかに描き込まれた美麗なグラフィックと、高度に洗練された秀逸な演出が印象的である。出回りが極端にすくなかったことから、本作は幻のアーケードゲームとして知られている。

本作の音楽を担当するのはTAMAYOこと河本圭代氏。当時タイトーZUNTATAに所属していた作曲家である。後にレイフォースなどのレイシリーズを作曲するのも他ならぬ氏で、本作はまさにレイフォース前夜とも言うべき珠玉のテクノサウンドが一通り揃っている。本作は前後左右に動くという性質上、人によってはゲーム酔いし兼ねないが、そこにさらに陶酔感に満ちた楽曲が響き渡ることで、没入感をぐっと高めてくれる。サウンドトラックは同時期の複数の作品とともにタイトーデジタルサウンドアーカイブの第1弾に収録されているほか、本作単体のアルバムも発売されていて、両者の間ですこしだけ曲名の表記が異なる(ここでは後者の表記にしたがう)。

惑星の内部を走行するPLANETコースや、科学技術の残骸が散らばる廃墟を巡るTECHNOLOGYコースとは異なり、地球を背景に宇宙空間を駆けるのがNATURALコースである。そこで流れるこの曲は、サイバーパンクの魅力をすべて詰め込んだような一曲である。教会の鐘を思わせる荘厳な音色に、ざわめくような電子音が混ざり合い、煌びやかな勢いを保ったままフュージョンすると、レースゲームならではの独特な疾走感が生まれる。伴奏にピアノを据えつつ、それとは別に、要所要所にぱらぱらとピアノの高音を降り注ぐことで、スタイリッシュな雰囲気に磨きをかけ、浮遊感あふれる世界観を見事に表現している。

今見ても映像表現の格好良さには痺れますね。もちろんTAMAYOさんの音楽的センスにも。